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なぜ東部戦線の黒シャツ隊はまだしも優秀であったのか?(付:OCS『Case Blue』)

 しばらく読むのが止まっていた『On a Knife's Edge』の続きを読み始めているのですが、その中に東部戦線の黒シャツ隊について、興味深い記述がありました。ソ連軍の小土星作戦により、イタリア第8軍が過酷な撤退戦を強いられている時の話です。

 『On a Knife's Edge』についてはこちら↓
『On a Knife's Edge: The Ukraine, November 1942 - March 1943』を買いました (2018/10/26)


 多くのイタリア正規軍将校と同様に、コルティは黒シャツ大隊を軽蔑の眼で見ていた。だが、この退却中の彼らの振る舞いはコルティの黒シャツ隊への見方を改めさせることになった。黒シャツ隊の将校らは退却する他のイタリア軍兵士らと一緒に徒歩で、範を示しながら率い、そして退却路を切り開くために戦うことを厭わなかった - 対照的に、イタリア正規軍の多くの将校達は、兵士らを捨ててどこかへいなくなってしまっていたのだ。
『On a Knife's Edge: The Ukraine, November 1942 - March 1943』P201



 関連エントリ↓
OCSのユニットで見る黒シャツ隊 (2017/01/31)
黒シャツ隊(ファシスト義勇軍)とイタリア正規軍との間のいさかい (2017/09/02)
『On a Knife's Edge』で見る東部戦線のイタリア軍のよもやま話 (2019/01/01) (コルティについてはこちらに)
OCS『GBII』『CB』:『On a Knife's Edge』による小土星作戦でのイタリア第8軍の崩壊 (2019/02/16)

 ↑この前者2つで、東部戦線における黒シャツ隊は他の黒シャツ隊よりも優秀であった旨が少し書かれていました。例えば以下のような。

 多くの学者によれば、第二次世界大戦における黒シャツ隊の能力は、ドイツの同等の部隊に比べて一般的に常に劣っていたが、しかしロシアに送られた黒シャツ隊は唯一の例外であったという。このことによってやや評価は上がるものの、黒シャツ隊の装備と訓練は、その組織構造と同様に、ドイツ軍部隊のそれよりも平均的に劣っていたということを忘れるべきではない。
『Rommel's North Africa Campaign』P42




 ↓OCS『Case Blue』の黒シャツ隊

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 アクションレーティング3は「強い」……というほどではないにしても、OCSにおける通常レベルです。他の黒シャツ隊が1とかであるのに比べれば優秀と言えます。
 


 そこらへん、なぜ東部戦線の黒シャツ隊はまだしも優秀であったのか気になったので、なぜかネット上にpdfが落ちている『Italian Blackshirt 1935-45』で理由を探してみたら、ありました。

 黒シャツ隊の最も豊富な一連の記事が、東部戦線においてのものであることは偶然ではない。共産主義ソヴィエト連邦に対する戦いは「使命」であると見なされ、単なる「ある種の冒険」などではなかったのだ。このイデオロギー上の対立の存在が、黒シャツ隊の兵士らがその地で出会うことになった非常に困難な状況を乗り越えさせることになり、さらに重要なことにはこの敵と戦うために彼らには充分な武器と装備が与えられていたのである。それ故ロシアの極寒や、優勢な敵に対する厳しい戦いや、あるいは被った激しい損失も、そこで戦った黒シャツ隊達に恨みを生じさせることはほとんどなく、むしろ彼らの間に見られたのは勇敢な振る舞いや英雄的な奮闘であった。
『Italian Blackshirt 1935-45』P54


 「反共産主義」が東部戦線の黒シャツ隊の強いモチベーションになっていたのですね……。

 日本語版Wikipedia「反共主義」にはこうありました。

ファシストはナショナリズムの立場から、国家や民族を階級闘争によって分断するとの理由で資本主義と共産主義の両方を批判し、第三の位置として階級協調を主張した。

多くの歴史学者はファシズムをヨーロッパにおける共産主義や社会主義の台頭への反動とみている。ベニート・ムッソリーニによって創立され指導されたイタリアのファシズムは、多くの保守主義者に共産主義者の革命が避けられないとの恐れを与えた左翼による騒動の数年を懸念する国王の願いによって、政権を得た。ヨーロッパ中で、資本主義者や個人主義者だけではなく、多くの貴族や保守主義者や知識人が、ファシストの運動に援助を与えた。



 逆に言えば、イタリア正規軍の将校や兵士達には「反共産主義」というようなモチベーションは高くなく、士気が低かったことあたりに関することは今鋭意資料準備中なんですが、しかし他の戦線のイタリア軍でもそうだったようですが、「指揮官や将校がまず逃げる」のはなぁ……。


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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! 見学だけ等も大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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