ウルム戦役のマック将軍はナポレオンを窮地に陥れるはずだった?

 ナポレオニックに関して非常に興味深い記事が読めるR/Dさんのサイト「祖国は危機にあり!」とその関連Blogなんですが、関連Blogの方は年が明けてから「ナポレオニック」カテゴリの一年分をまとめて印刷して読むようにしております。

 今回もそのようにしてみたところ、ウルム戦役でのマック将軍について詳細が描かれておりまして、大変興味深かったです。

 「ウルムで後方を包囲されるに任せた無能な将軍」という印象が巷間流布しているマックですが、詳細を読んでいるとむしろ他のオーストリア軍の将軍が懸念するほどに、電撃戦的に急進撃してフランス軍の後方補給線を脅かそうとしていたのだとか。


 この件について、Maudeという第一次世界大戦前のナポレオン関連本の著作家は、「マックの姿勢こそが正しく、むしろマックは有能だったのに、それを他のオーストリア軍の指揮官達(特にフェルディナント大公)が邪魔したのだ!」と主張しているそうで、R/Dさんはその説をBlog中で検証しておられますが、「Maudeの言っていることは無理筋だろう」という感じで書いておられます。

 興味を持ったので、他の本をちょっと見てみたのですが、以前に新たなナポレオン関係洋書をポチってしまいました (2014/06/25) で書いてました『Blundering to Glory』という本は、ナポレオン側の失策とそれを驚異的な努力で勝利へと持っていってしまうのをテーマとした本だからかもですが、マック将軍はナポレオンを危機に陥れる寸前で、それを無能なフェルディナント大公が無にしたのだ、という書き方になってました。ナポレオン側は、元々マックが後退するだろうと推測していたのに、後退していなかったのに気付き、「やべえ」となったものの、それを修正したのだと。

 この本の見方(特にマック)については、『歴史群像 111号』のP16で有坂純さんが詳述しておられるので、持っておられる方はぜひ見てみて下さい。




 あと、マック将軍個人については R/Dさんの勇将(?)マックの冒険も面白いかも。



 歴史群像では、佐藤俊之さんがナポレオン戦史を連載中で(いつも買って読ませてもらってます!)、122号でウルム戦役が扱われていて見てみたのですが、(R/Dさんや『Blundering to Glory』がマックの意図や機動について詳述しているのに比して)記述は簡素で、巷間流布している説にほぼ沿った書き方のようでした。

 まあ、Maudeや『Blundering to Glory』の見方はかなり異端の説に留まっているということなのかもしれません(^_^; が、面白い説だと思います。

 R/DさんはBlog中でMaudeの主張や資料の扱いの粗雑さも指摘しておられるんですが、私実は、Maudeの書いたイエナ戦役本(『The Jena Campaign - 1806』)を持っているんですが、この本、英文が私にはすごく読みにくいということもあるので、もしかしてこの本読まなくてもいいですかね……?(^_^;


 あと、『Blundering to Glory』なんですが、以前ちらっと読んだ時にはナポレオニックファンなら知ってるような流れの記述が割と延々と続いて、面白い論争のあるところの論が出てこないのに飽きて読むのをやめてしまったんですが、今回改めて読んでみると「知ってるような話は斜め読みして、論争のあるところは精読」すれば充分楽しめそうだと分かりました。個人的には論争になるところだけ扱ってくれればいいのにと思うのですが、まあそうもいかないのか(^_^; 私の持っているのは「THIRD EDITION」と書いてあって、それほど版を重ねているならやっぱ読む価値はあるのではないかと思い、ちょっとまた読んでみようと思います(他にも色々同時並行で読んでいるのですが……)。


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DSSSM(松浦豊)

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 ゲームをしないウォーゲーマー……でしたが、最近はOCSだけはひたすらプレイしたり情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになりつつありますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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