東部戦線におけるイタリア軍のメッセ将軍

 イタリア軍最優秀と言われるメッセ将軍ですが、北アフリカ(チュニジア)でロンメルの後に戦っていたことは知ってはいましたが、その戦域でのメッセ将軍に関する詳しい記述も見たことがなく、どのように優秀なのか知らないままでした。

 今回、ネット上で日本語の記述を探してみたら色々出てきました。


Giovanni Messe

 ↑Wikipedia「ジョヴァンニ・メッセ」から


 主に東部戦線の、CSIRのメッセの指揮に関することを引用してみます。

対ソ戦で装甲部隊を持たないというハンデを機械化歩兵と騎兵師団からなる同部隊の機動力を広大な草原地帯で最大限に発揮する事で埋め合わせた。各所でソ連軍を破るCSIR軍に、ギリシャでの躓きを見ていたドイツ軍の評価が翻るのに長い時間はかからなかった。ブラウ作戦を前にしてドイツ軍はイタリア陸軍に大規模な増派を要請し新たに山岳師団などが加わったイタリア第8軍が形成されるが、その功労者たる自身は後任のガリボルディ大将に役目を譲っていた。自身が去った後も東部戦線のイタリア軍部隊は活躍を見せているが、スターリングラード攻防戦後にムッソリーニの命令で解散されている。
日本語版Wikipedia「ジョヴァンニ・メッセ」


部隊は温存されていた精鋭の自動車化師団、快速師団、山岳師団から編成され、機動性は十分にあったが対戦車戦力が極めて欠乏しており、T-34戦車との戦闘が不安視されていた。

司令官は初め、フランチェスコ・ジンガレス大将が務める予定だった。しかし輸送中のウィーンで病に倒れた事から1941年7月14日、ジョヴァンニ・メッセ中将に交代した。メッセはムッソリーニの見栄を重んじるような無計画な装備での遠征を批判しつつも、優れた采配で軍を率いて戦果を得た。しかしドイツ軍からの増援要請にも反対した為、遂に解任され北アフリカ戦線のドイツ・イタリア戦車軍の指揮官へと移された。一方、北アフリカから入れ替わる形で後任に着任したイータロ・ガリボルディ大将(リビア総督)は逆にドイツ軍の戦争計画に協力的であり、それが元で戦後の戦争責任を問われることとなった。

ブグ河近辺でソ連赤軍第9軍の先遣部隊と接触した自動車化師団『パスビオ』はベルサリエリからなるオートバイ中隊に前線を突破させる事でこれを撃破、3500名のソ連兵を捕虜するという幸先の良い初陣を踏んだ。続いてヴィーキングSS装甲師団のドニエプロ・ペトロブス地方での戦闘を助け、エバーハルト・フォン・マッケンゼン将軍の評価を得ている。CSIR部隊はドイツ軍や同盟軍とともにドニエプル川を渡河し、ペトコリフカ市を守備するソ連軍3個師団を巧みに包囲殲滅して1万3000名の捕虜と80門の野戦砲を鹵獲した。ペトコリフカ市の占領作戦はエヴァルト・フォン・クライスト元帥からも賞賛され、戦力としての信頼は確立された。
日本語版Wikipedia「イタリア・ロシア戦域軍」


一つはドイツのバルバロッサ作戦に呼応して開始されたロシア遠征。
メッセ率いるイタリア・ロシア戦域軍は、戦車大国ソ連相手に対戦車装備を欠いており、ドイツからは全くアテにされていない有様だった。
しかしメッセはその速力を生かした機動戦でソ連軍を翻弄し、戦車など自軍で対処できない相手はドイツに任せるといった「イタリア式電撃戦」を展開。
数でも勝るソ連軍を次々と撃破して拠点を占拠してみせ、あのヒトラーですらイタリア軍の戦功を賞賛するほどの活躍を見せたのである。

メッセ - ミリ姫大戦 攻略 Wiki


そこからのジョヴァンニの戦略はまさに「イタリア版電撃戦」と言えるものでした
イタリア軍各部隊はソ連軍が強固な戦線を構築する前に機動力を活かして突破していきます
浸透戦術のように、戦線を突破した後は敵を分断し指揮系統をマヒさせ、混乱した敵を各個撃破していく
これを基本コンセプトに次々と侵攻していきます
しかしイタリア軍はドイツ軍のように充実した戦力をもっていないため、
ジョヴァンニは戦術にアレンジを加えていました
そのジョヴァンニのイタリア版電撃戦にするアレンジとは

「やばそうな敵との戦いは避けてドイツ軍を呼ぶ」

というものでした
単独で撃破できるドイツ軍と違い、
対戦車能力などが劣悪だったイタリア軍ではソ連軍を倒すのは容易なことではなく多くの被害を伴うと予測できます
兵士が畑からとれソ連軍と違い、戦力が充実していないイタリア軍はわずかな損失でも避けたいものでした
そこで単独で簡単に倒せそうな敵以外は回避し、
ドイツ軍や他の同盟軍と連携をとるように機動力を活かして移動し複数方面から攻撃をかけるようにする、
という作戦を行ったのです

この作戦は当たり前に思えるかもしれませんし、
実際当時の戦術研究を行っている軍人たちはみなこの有効性をわかってはいたのですがなかなかそれを実行することはできませんでした

なぜなら将官のプライドが邪魔をしたからです
敵から逃げ、友軍とはいえ他国の助けを恥ずかしげもなくためらいなく借りる
これを最初からやれる指揮官は、貴族出身の多かったイタリア軍将官にはほとんどいませんでした
ドイツ軍やイギリス軍にも多くはなかったでしょう
どれほどの兵士たちの命が将官や政治家のプライドを守るため失われたのか、想像もできません
イタリア軍の名誉を回復するスレ



 イタリア・ロシア戦線派遣軍団(CSIR:~1942年春)について (2017/05/12) で挙げてましたように、少なくともOCS上ではCSIRは機動力を結構持っていたように見えます。

unit00094.jpg

 確かにこれで電撃戦・浸透作戦をおこなって、やばそうな敵はドイツ軍に任せる……とかしたら、すごく面白そうです(^_^; 「ぜひプレイしてみたい……!」と思いましたが、しかしOCSではCSIRの時代はカバーされていませんし、GMT:EFSではCSIRは機動力があるようにはレーティングされていないっぽいので、無理か……!!(T_T)

 ただ、上記引用はWikipediaはまだしも、下2つは話が誇張されている可能性も無視はできないかもしれません……。


 『Sacrifice on the Steppe』だと、メッセが有能とかって話は出てきませんし、またCSIRの機動力に関しても、「機動力がなくてやばい」という泣き言が何カ所も出てきます。

 メッセが東部戦線での指揮官を解任された件ですが、ネット上で資料を見ていると「東部戦線へのイタリア軍のさらなる増派に反対したので、増派をしたがっていたムッソリーニから解任された」という風に書いてあるのばかりっぽいのですが、『Sacrifice on the Steppe』から受ける印象はやや異なります。

 P16からP17にかけて少し詳しめにメッセとムッソリーニとの会談の経緯と様子が書かれているのですが、それによると、

1.メッセがカヴァレロ将軍と会う。メッセは増派への反対論を唱えたが、カヴァレロはムッソリーニの決定だから、と言った。
2.3日後、メッセがムッソリーニと会う。ムッソリーニはメッセを褒め称え、メッセは後で個人的に会いたいと伝える。
3.同日遅く、再会談。ムッソリーニは再びメッセを褒め称え、メッセが指揮官であるのが最も良いと考えるが、ガリボルディ将軍がすでに次の指揮官として決定されたのでそれが不可能だと伝えた。
4.メッセは指揮権については何も言わず、さらなる増派に反対だということをこの後ムッソリーニに話していく……。

 つまり、まず解任された後にメッセは増派に反対という流れなのですが、しかしロシアで戦っていた頃からメッセは東部戦線への派遣に批判的でしたし、上記でカヴァレロに増派に反対と伝えたのをカヴァレロがムッソリーニに伝えていたということも充分にありそうではあります。



 あと、Google Books上でかなりの部分が見られる第二次世界大戦のイタリア軍に関する本『Regio Esercito:The Italian Royal Army in Mussolini's Wars, 1935-1943』で東部戦線時代のメッセ将軍に関する記述を探してみたのですが、以下の部分しか見つかりませんでした。

 8月14日にドイツ第11軍司令官のSchobert将軍は、イタリア軍を褒め称えた。
「困難な状況であったにも関わらず実行されたパスビオ師団の迅速な前進は、第11軍団の勝利に非常に大きな貢献をなした。」
 Schobert将軍によるイタリア軍への賞賛は正当なものであった。なぜならば、そのイタリア軍兵士達は最大の敢闘精神で戦ったからである。しかし、CSIRの司令官であったメッセによる記述は、より実際を表しているのかもしれない。
「第80[歩兵]連隊と第1ベルサリエリオートバイ中隊によるこれらの会敵に対する戦闘は、すさまじいほどのものであった。」
『Regio Esercito:The Italian Royal Army in Mussolini's Wars, 1935-1943』P105




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 ゲームをしないウォーゲーマー……でしたが、最近はOCSだけはひたすらプレイしたり情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになりつつありますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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