イタリア軍歩兵師団が「2単位」編成であること等の合理的な理由

 イタリア軍歩兵師団が「2単位」編成、すなわち2個連隊しか持たないことは色々な文献で触れられています。

 曰く、第二次世界大戦中の他国の軍隊では「3単位」(3個連隊)編成が通常で、これならば2個連隊を前線に配備して、1個連隊を予備にすることができる。しかし「2単位」では予備部隊を持てないから、前線の動きに柔軟に対応できず、敗北につながりやすい。このような「2単位」編成をとったのはイタリア陸軍やムッソリーニが歩兵師団の「頭数」を増加させて、それで満足するためで、まったく馬鹿げたことであった……云々。

 また、自動車化されていないことも揶揄の対象で、「守備部隊としてしか役に立たない」「自動車化可能師団(半分とかちょっととかだけトラックが配備されてたり、あるいはトラックの運転の練習だけはした兵士で構成されていた歩兵師団らしい)とかってなんなの(笑)」とかって感じで言われていました。


 しかし、『コマンドマガジン27号(エチオピアのライオン特集号)』のP14「イタリア陸軍の編成」を読んでいて、「なるほど!」と思いました。

 2単位編制のほうが、標準的な3単位編制の師団に比べて、補給は容易だった。エチオピアでの成功により、2単位編成がイタリア軍で正式採用されたが、後により強力なヨーロッパの軍隊と戦うことになり、それでは力不足だということが判明したのは、悲劇以外の何ものでもない。
 ……
 編成上で見る限りは、後方支援部隊、補給部隊、砲兵隊は自動車化されている。しかし実際には、大戦を通じて馬匹牽引の馬車、荷車などが使われた。ただし、他の戦場でならいざ知らず、道路が未発達のエチオピアでは、悪路のためにトラックの走行が思うに任せず、自動車化されていないことは欠点にはならなかった。むしろ荷馬車や馬匹のほうが、確実に歩兵の行軍ペースに合わせることができたくらいだ。
 【エチオピア戦に】途中参加の歩兵師団(アジエッタ、コッゼリア、メタウロ、ティヴェレ)は、2個歩兵連隊を主軸とする「2単位」編成である。連隊数は少ないものの、実戦では、3単位編成の師団と同等の働きをした(3単位編成の師団であっても、1個連隊は予備に回されるのが普通だった)。先にも述べたように、2単位編成の師団は補給が容易で、それだけ戦場に長くとどまることができた。





 自動車化されていないのは、そもそも当時のイタリアの国力・産業力が弱く、トラックを揃えることなどできなかったということもあるでしょう(当時の日本も同様です)。↓参照。






 巷間、なにかものごとだとか人だとか集団とかを揶揄・嘲笑することで「印象を強くすることができる」「話題性を強められる」ということはあるでしょう。けども私は、そういうのを見て「えっ、そうなの?」と思って色々調べてみると、「揶揄・嘲笑されるほどのことはなかったし、しかもそこには何か合理的な理由があった」ということに普段でも、このブログ上でも、多く接してきた印象を持ってます。

 有名なものではシュリーフェンプランの小モルトケによる改訂はゆえなきことではなかったって話とか、このブログ上で最近では黒シャツ隊の話(OCSのユニットで見る黒シャツ隊)とか、グルーシーとリュッヘルの話(ホーエンローエの方が悪かったのにリュッヘルがバカにされ、ナポレオンの方が悪かったのにグルーシーがバカにされ)とか……。

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 ゲームをしないウォーゲーマー……でしたが、最近はOCSだけはひたすらプレイしたり情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅でOCSを置きっぱなしプレイがメインになりつつありますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。
 過去に作ったイタリア軍関係動画もどうぞ。
※リプレイ記事は練習が主になっていて、間違ったルールでプレイしてる事が多々あることにご注意下さい。気付いたものはその都度新しい記事でその事を書いてますが、古い記事に修正はほどこせていませんので……。

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