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OCSにおける真の「ショック戦」

 ワニミさんからOCSの参考用に、The Gamers社出版の『Operations』#26(1997年秋号)に載っていたという、Dean Essig氏(OCSのシステムデザイナー)の「Through the Toothpaste Tube」という記事のOCRデータを頂き、目を通してました。

 その中に「OODA Loop」という言葉が出てきまして、これもワニミさんから以前頂いて(!)ました『米軍式意思決定の技術』という本に出てくるもので、本とWikipedia上の記事はこちら。




OODAループ


 で、Wikipedia項目の最後の段に、↓とあるのが非常に心に残りました。

 戦闘では自らのOODAループを最速で回転させ、かつ相手のOODAループを阻害してOO-OO-OOスタックを生じさせるか間違った方向にループを誘導する。つまり戦場において主導権を勝ち取り・とり続けることでもたらされる意思決定と状況の変化、すなわち進撃の速度で相手の優位にたち、相手を混乱させ心理的ショックを与え続ける。必ずしも決戦は必要ではなく、相手の脆弱な箇所へ攻撃を仕掛け続ける。



 あるいはまた、前掲書にも再度目を通していると、以下のような記述などが。

 機動戦といえば、「大平原を戦車部隊が突進し、有利な位置や態勢を占めた後に戦車砲で敵の戦車や陣地を破壊する」、そういう戦いをイメージするかもしれない。しかし、このイメージは「機動力を発揮した消耗戦」の範疇に入る。このような誤解を避けるため、機動戦のことを「ショック戦」、「麻痺戦」という軍事専門家も多い。
 ボイドの戦略は工業化時代のように消耗戦を狙ったものではない。ボイド戦略の目標は敵の「状況に適応する精神的な能力」を粉砕することである。
『米軍式意思決定の技術』P102



 これらはまさに、私がOCSでやられまくった時に起こったことと同じであるような気がします(^_^;

 『Tunisia』で、自分が連合軍で攻撃側なのに(後方に守備隊なども置いておらず)けんもほろろに突破されて重要地点を占拠されてしまってどうしようもなくなったり……。

 あるいは、OCSで非常に有効なのは相手が意識していない脆弱な箇所への有効打であるとか……。


 OCSは「壊れやすい」ゲームだとは思います。ZOCがもっと強ければ壊れにくくはなるでしょう。「競技用ゲームとしてどうなのか」という意見はそこのところを指しているのだと思います。

 しかし逆説的に考えれば、OCSは弱ZOCだとか移動モード、予備モードなどのシステムによってそもそも「相手の脆弱な箇所に攻撃をかけ続ける」ということが可能であるように構築され、「ショック戦」を再現可能なようにしている……という風に考えることもできるのではないかという気がしてきました。

 OCS上の補給線や、補給集積所、司令部、戦線は、どれもこれも(他のウォーゲームに比べて)圧倒的に脆弱です。プレイヤーは常に、あっという間に壊れてしまいそうな「自軍」でもってなんとか戦っています。

 ですが、だからこそ「ショック戦」、すなわち「電撃戦」が最も再現できるシステムであるのかもしれない?


 私は「電撃戦」のゲーム上での再現ということにかなり興味があったのですが、その要諦は「早く進むこと」だと思ってました。でもどうも上掲引用などを見て考えてみると、私のやろうとしていたことはどうも、「早く進んで消耗戦をする」ということに留まっていたような気がしてきました。「ショック戦」という考え方はしていなかった(どうして「電撃戦」などという言葉よりも「ショック戦」という言葉の方が人口に膾炙している状態にしておいてくれなかったのかナァ!)。

 ただ、「ショック戦」とは言っても、凡百のウォーゲームではシステム上可能な範囲がかなり見えるので、「ショック戦」にしたくてもなかなかそうはならないです。ところがOCSではシステム上どこもかしこも危ない上に、やろうと思ったらできることが大きいように作られているから、何がどこまで可能か、どこが危ないかとかを把握しきって対処しきることができず、ある意味、容易に「ショック戦」ができてしまう……。

 OCSではあらゆることを脆弱な状態に設定することによって、真の「ショック戦」が可能なように作られている。狙うのは敵ユニットなんかではなく、敵の補給線であり、司令部であり、補給集積所だ。敵部隊を削ることが必要だと考えるならば、それは第一次世界大戦的な消耗戦の感覚にまだ囚われている証拠だ。敵が進撃してきている局面は、敵が最も不安定な状態にある時だ。その隙を狙って進撃における脆弱な結節点に有効なカウンターパンチを与えれば、敵は麻痺してしまう。そのために防御の初期にできることは、相手がより不安定になるように自軍部隊の拠点でもって敵の進路を誘導することだ……。


 こういうことは実は、Dean Essig氏が書いてある文の中に見たことはないですが、しかしそういうことなのではないでしょうか……(^_^; 「OCSは、壊れやすいように作っておいたよ! これで真のショック戦が真に再現可能だ! 大いに楽しんでくれたまえ!」



 問題は、Dean Essig氏自身がどうも『Operations』誌上でも何度も説明(弁明?)しているっぽいことからも垣間見えるように、OCS上での真の「ショック戦」によって少なくない数のウォーゲーマーが「こんなのは戦争じゃない!」とOCSを否定的に評価したことかも……? ああああ……これこそが真の「ショック戦」だったか……。


(上記はあくまで仮説です(^_^;)

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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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