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OCS『Crimea』のシナリオ2「虎の尾を踏む」について

 ミドルアース大阪で、OCS『Crimea』のシナリオ2「虎の尾を踏む」をプレイしてみたので、このシナリオについて書いてみようと思います。









 史実では、ソ連軍はまずケルチ周辺に第一次上陸を行い、数日後にフェオドシヤ(ケルチ半島の根元南岸)に上陸。その戦域を守備していたフォン・シュポネック将軍は独断で撤退し、投獄されました。

ケルチ半島から独断撤退して投獄され、のちに処刑された伯爵ハンス・フォン・シュポネック中将について (2024/01/27)




 シナリオは、非常に良くできてるなと思いました。

 初期配置ではケルチ港の北東隣接ヘクスのコロンカ港のヘクスが空いており、ソ連軍が第1次上陸を仕掛けるには好都合です(港湾能力を使用して上陸してすぐに一般補給を引けるので。ただし、その港に海上輸送するためには、移動フェイズ中に敵ZOCがかからないようにしなければなりません)。


unit8425.jpg


 第1ターンの先攻・後攻に関しては、「枢軸軍プレイヤーがイニシアティブを持っており、先攻・後攻を選択できる」となっており、枢軸軍は先攻を取ってコロンカ港にユニットを入れることもできます。

 ところが、シナリオ特別ルールで「ソ連軍プレイヤーはシナリオ中に1回、「大攻勢」を宣言でき、宣言したならば、枢軸軍のリアクションフェイズはスキップされ、次のターンのイニシアティブをソ連軍が獲得する(つまり、ダブルターンが確実にできる)」とされています。そうすると、枢軸軍プレイヤーとしては第1ターンで先攻を取ると、ソ連軍プレイヤーに「大攻勢」される可能性があるわけです(まあシナリオ中いつかはされるでしょうけども、可能な限りソ連軍に先攻を取らせた方が、枢軸軍にとって良いのは確かでしょう)。



 また、ソ連軍は『Crimea』独自の海軍輸送船舶(Naval Transport)というユニットを使用して上陸作戦を行うのですが……。

unit8424.jpg


 輸送船舶ユニットは、シナリオ開始時に6ポイント(6RE分)あります。が、第1ターンから第10ターンまでの毎ターン、ソ連軍プレイヤーは密かにダイスを1個振って、5か6が出たならば輸送船舶1ポイントを獲得します。そしてその存在は枢軸軍プレイヤーには秘密にされます。

 輸送船舶ユニットは上陸作戦に使用したら(このシナリオでは)使い捨てなのですが、賢明なソ連軍プレイヤーであれば最初の数ターンにいきなり最初の6ポイント分を使い切ってしまうのではなく、2ポイント分とかを使わずに置いておくと、枢軸軍プレイヤーとしては「まだ上陸作戦がどこかに行われるのではないか」と考えざるを得ません。そして、輸送船舶ユニットは第10ターンまでに、新たに3ポイント程度は獲得されている可能性があるわけです。


 また、OCSで上陸用舟艇による「揚陸(ALT*)」を実行したことのある方なら、「揚陸自体でダイス目が悪ければ全滅もあるなど結構リスキーで、またSPを陸揚げできないなど、結構制限がキツイ」という印象があるのではないかと思います。ところが『Crimea』の輸送船舶ユニットによる揚陸は、最悪でもユニットの半分は上陸に成功し、またSPを陸揚げできる(輸送ユニットに積んだ状態でも)など、かなり制限が緩くなっています。

*:敵ユニットのいないヘクスへの上陸作戦。敵ユニットのいるヘクスへの上陸作戦は、海岸強襲(BA)という別のルールを使用します。



 さらにさらに。『Crimea』プレイノートの「ゲームプレイに関する考察」を読んでいると、こう書いてあります。

 ソ連軍側の上陸作戦【3.5a】の「脅威」は、実際の上陸と同じくらい厄介です。マップ上で、ドイツ軍プレイヤーの前で例えばクラスノペレコプスク(Krasnoperekopsk:F17.23)【クリミア半島とウクライナの間の地峡部にある村】に上陸作戦を行うために必要なヘクス数を仰々しく数えてみてください。そうすれば、枢軸軍は部隊をもっと広げて配置せざるを得ないでしょう。


 実際にクラスノペレコプスクへのソ連軍の上陸作戦が成功し、その周辺に対応できる枢軸軍部隊がいないとなると、クリミア半島の枢軸軍全体が補給切れでとんでもないことになる可能性があります。




 全体としてこのシナリオは、「(1941~42年の冬期反攻の一環として)ソ連軍側が、クリミア半島各地への上陸作戦をチラつかせながら、最大限の戦果を挙げようとする」のに対し、「枢軸軍側はなんとかしてそれに対処しようとする(が、地上戦力も空軍力もSPも乏しい)」というものになっていると思いました。そういうシナリオは、OCS全体でもかつて見たことがないようなものなんじゃないでしょうか。

 20ターンというのは結構長いですし、当時行われていたセヴァストポリ攻略(と守備)のためのユニットも出てきますから全体のユニット数はまあまああるのですが、セヴァストポリ周辺のユニットを動かしてしまうのは両軍にとってリスキーだと思います(そこから戦力を抜くと、やられてVPを献上することになります)し、また各地にある港湾に置かれている枢軸軍ユニットは守備隊として実質上動かせないなど、実際に動かせるユニットはだいぶ少ないです。そしてまた、両軍とも1ターンに来るSPが1SP程度しかなく、華々しいことをやるのは難しいですから、ターン自体は割とスイスイ進むと思います。


 冬期反攻の一環として、ソ連軍側はクリミア半島の各地への上陸作戦を自由に考え、そして枢軸軍側はそれを何とかして阻害しようとするという構図は、なかなかに魅力的なのではないでしょうか。かなりプレイして面白そうなシナリオだと思いました。


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Author:DSSSM(松浦豊)
 ボードウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、第二次世界大戦やナポレオン時代関係情報を集積したりしてます。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイしたり、VASSALでOCSをオンラインプレイしたりですが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! VASSALでのオンラインインストも大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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