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『アーロン収容所』から:イギリス軍の士官と、下士官・兵の差について

 『アーロン収容所』を読んでいて、イギリス軍の士官と、下士官・兵の差について書かれているのが少し興味深く、今後もイメージを持っていく上で有用かなと思われるので、ブログに書いてみようと思います。


 しかしまず私自身、「士官(=将校?)」と「下士官(および兵卒)」の間の断絶について、まだまだ良く理解もできておらず、実感も持てていない感があります。実際のところ長い間私は、字面的にも「士官」というカテゴリの中の下半分が「下士官」ということなんだろうなぐらいに思っていただろうとも(いや、そういう人多いのでは!?)。

 しかし、士官というのは士官学校を出た、(上級)指揮官になっていく人達で少尉(小隊長?)以上、下士官というのは兵卒から上がっていった人達で最高で曹長(あるいは特務曹長とか准尉とかってのもあるとか)で、あくまで指揮官たる士官の指揮の下で戦う兵隊である……?(という理解で合ってます? 例外はあったというのは一応把握してます)


 これが何か、イメージしやすいものに喩えられないか考えてみたのですが、土佐藩の「上士(山之内家の家来出身)」と「下士(長宗我部家の家来出身)」とか……一般的ではないか(^_^; あるいは、第二次世界大戦前・戦中だと「大卒なら士官相当」というような話も見たのですが、それは大卒が数%の状況においての話で。(私はしかし、大学に行く人間は社会の数%程度というのが本来のあるべき姿ではないかなぁ、という気もしますけど)

 ともかく、少なくとも私には想像しにくいのですが、士官と下士官(兵卒)の間にはものすごい断絶感があったようなのです。これがどうも、イギリス軍においてはその差がものすごかったようで……。

 イギリス兵の服装は、日本のように士官と下士官・兵のような劃然とした区別はない。士官であるかどうかは腕にある階級章で区別できるだけである。この点はアメリカ兵と同じである。ところがそのうち私たち【日本兵捕虜】は遠くからでも一見して区別できるようになった。動作や態度とか、そういうものからではない。【……】
 【……】それは、体格、とくに身長である。五尺七寸余(1.75メートル)の私より背の高いのは下士官や兵ではすくない。五尺四寸【1.63メートル】くらいのものがすくなくないのである。しかし士官は、大部分が六尺【1.82メートル】以上もあると思われる大男で、私より低いものはほとんどいなかったのである。
 体重も下士官や兵には見事なものは多くない。かえって貧弱だなあと思うような男もすくなくなかった。しかし士官は老人以外はほとんどが堂々たる体躯で私たちを圧倒した。【……】しかも体格だけではない、動作が生き生きとして自信にみち、しかも敏捷であるのが目立つ。

『アーロン収容所』P109,110


 その理由らしきものとして、著者は↓のようなものを挙げています。

 士官たちは学校で激しいスポーツの訓練をうけている。フェンシング、ボクシング、ラグビー、ボート、乗馬、それらのいくつか、あるいは一つに熟達していない士官はむしろ例外であろう。そして下士官・兵でそれらに熟達しているものはむしろ例外であろう。士官の行動は、はるかに敏捷できびきびしているのである。
 考えてみれば当然である。かれらは市民革命を遂行した市民(ブルジョア)の後裔である。この市民たちは自ら武器をとり、武士階級と戦ってその権力を奪ったのだ。共同して戦ったプロレタリアは圧倒的な数を持っていたが、そのあとかれらが反抗するようになると市民たちは力で粉砕し、それを抑えてきたのである。私たちはこの市民の支配を組織や欺瞞教育などによると考えて、この肉体的な力にあったことを知らなかった。
『アーロン収容所』P112,3


 後段については「本当かなぁ……?」とも思うのですが、一応見聞の例としてはそういう感じであったらしいのでしょう。ただ、著者らが見たのは恐らく下級の士官達(尉官とか、高くても佐官?)であって、イギリスの上級将校(将官)は貴族で占められていたとか、あるいは背が低い将官も結構いた(オコーナーやハーディングなど)という印象も私は持っています。

WW2のドイツ軍、イギリス軍、イタリア軍の上級指揮官は貴族閥によって占められていた……? (2021/06/26)
コンパス作戦の準備(付:OCS『DAK-II』) (2022/02/01)



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