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OCS『South Burma』(仮)製作のために:英連邦軍はなぜラングーンを死守しなかったのか?

 OCS『South Burma』(仮)を作ってみようとする上で、私には「英連邦軍はなぜラングーンを死守しなかったのか?」という疑問がありました。

 ウェーヴェルはラングーンの死守を命じたものの、アレクサンダーは「ラングーンは死守できない」と判断したというのですが、なぜそういう判断に至ったのか、私には納得できる理由が見つけられていなかったのでした。


 いくらか収集していた理由に関する記述は、↓のもの。

 もう疲労甚だしく……
『ビルマ 遠い戦場 上』P64

 彼【ウェーヴェル】のいうとおり【ラングーン死守】にしていたら多数の軍人と軍属が日本軍の捕虜となっただろう。
『ビルマ 遠い戦場 上』P65

 この方法でアレクサンダーは戦況を回復し、【……】ラングーンへの進攻を食い止めようとした。計画は失敗だった。日本軍はペグーを鉄環の形で締め上げる一方で、シリアム製油所の奪還をはかり、突撃隊を渡河して浸透させてきた。結局ラングーンは防衛することはできないと、アレクサンダーはビルマにわずか一日滞在しただけで悟った。
『ビルマ 遠い戦場 上』P72


 戦況に関して言えば、当時ラングーンは北と南東から包囲されかかっていた(ただし兵数は少なく、長期包囲戦が可能であるようなものではなかったと思います)ので、そこらへんの問題はあったと思います。

 しかしOCSのゲーム上では、SPをある程度以上抱えていれば都市ヘクス(中障害地形)で死守した方が良いように思えますし、史実のラングーンも、これまで集めた情報では「死守を諦めて当然」とまでは全然思えてませんでした。



 ところが、『シエンノートとフライング・タイガース』を読んでいると当時のラングーンの状況に関する詳述があって、「なるほど、これは守れないだろう」と思いました。

 イギリス軍は出来るだけラングーンを保持しようと計ったが、それはラングーンの埠頭には武器貸与法による軍需物資が山積みされていたからである。その物資をなんとか中国に運び込もうと不眠不休の努力が成されていたのである。
 12月23日に日本軍は放送を通じて、ラングーンの空の守りは瓦解したので、クリスマスには毒ガスと落下傘部隊というプレゼントを進呈するという情報を流している。これがラングーンのパニックの始まりとなったのである。金持ちはインドに逃れ、そうでない者は独立運動家などに動かされて、イギリス人を襲って略奪をほしいままにするという事態になった。ビルマ人のコックなどが逃走したので、AVGも食料にすら事欠く有様であった。またガソリンや酸素の供給もままならぬ有様で、作戦に支障が出始めてきたが、日本軍の攻撃はさらに激しさを増してきたのであった。
 行政や社会秩序が崩壊して、ラングーンは断末魔の様相を呈してきたのもこの頃のことである。略奪と放火がはばをきかしていたし、刑務所、精神病院、動物園が解放されたために、街路の到るところに囚人、精神病患者、動物が徘徊するところとなった。そして3月4日までにラングーンはまったく死の街と化したのである。

『シエンノートとフライング・タイガース ― 日本軍を震撼させた男』P139


 これをOCS上でルール化するならば、例えばこういう感じでしょうか?

 英連邦軍の補給フェイズに、日本軍の攻撃可能ユニットがラングーンの12ヘクス以内にいるならば、英連邦軍プレイヤーはダイスを2個振ります。出た目が、ラングーンに最も近い日本軍の攻撃可能ユニットまでのヘクス数以上であるならば、ラングーンのヘクスに置かれている英連邦軍のSPから、1SPが失われます。


 こうすれば、プレイヤーによるラングーン死守は、まったく不可能ではないものの、かなり苦しいということになりそうな気がします。



 あと、↓の記述からすると……。

 両軍とも、ラングーンがビルマの鍵であることを理解していた。最大の都市であり、唯一の主要港であり、産業の中心地であり、多くの熟練労働者の居住地であり、軍需物資の巨大な集積地であり、優れた飛行場群に近接しており、こことその海へのアプローチを押さえ、十分な増援があれば、ビルマを支配できることは明らかだった。英連邦軍の戦略は、できるだけ長くラングーンを保持することであったが、しかしラングーンを包囲されてもいけなかった。日本軍の作戦は、軽装備の部隊を最大限の速度でラングーン周辺に展開し、【ラングーン港から陸揚げされる増援によって】英連邦軍が十分に増強され阻止されてしまうようになるか、中国軍が集結して北翼が攻撃され始めてしまう前にラングーンを占領することであった。
『Burma, 1942: The Japanese Invasion - Both Sides Tell the Story of a Savage Jungle War』P346


 日本軍が例えばラングーンの東方にだけ部隊を集中させて、西側が英連邦軍側のものであった場合、そこから増援と補給を送り続けるということは不可能ではないということになろうと思います。

 また、OCSのシリーズルールでは港湾ヘクスに敵のZOCが及んでいると、そこに海上輸送ができなくなる(ただし一般補給は引ける)のですが、この1942年のラングーンに関して言えば、ここをそのままにしておくか、特別ルールで緩和するかは微妙なところであるように思えます。




 あと、「ラングーンのパニック」は、まず、

1.日本軍の戦闘機がラングーン周辺の航空優勢をある程度握っている。

2.日本軍の爆撃機がラングーン等に(戦意を喪失させるための)戦略爆撃をある程度行っている。

 ということが前提条件になるだろうとは思います。

 とすると、以前に案として挙げていた「日本軍の戦略爆撃用の航空ユニットは省略する(つまり、前線の戦術爆撃用の爆撃機ユニットだけを用意する)」の場合、日本軍の戦闘機ユニットはラングーン周辺の航空優勢を取る必要はないでしょうから、おかしなことになってしまうかもですね……。

 そこらへん考えると、史実で存在していた爆撃機はすべてユニット化した上で、特別ルールとして「戦意を喪失させるための戦略爆撃」をルール化して、それで日本軍としてはその戦略爆撃もやらなきゃいけないし、戦術爆撃にも割り振らなきゃいけないし……という風にした方がいいかも?

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Author:DSSSM(松浦豊)
 ボードウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、第二次世界大戦やナポレオン時代関係情報を集積したりしてます。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイしたり、VASSALでOCSをオンラインプレイしたりですが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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