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北アフリカ戦で英連邦軍は諸兵科連合できない(しない)……でもじゃあ、イタリア軍は諸兵科連合できるのか?(付:OCS『DAK-II』改造ハウスルール案)

 北アフリカ戦における英連邦軍が「諸兵科連合できない」……というよりは、ドクトリン上「諸兵科連合しない」のであったらしい、ということに関して、北アフリカ戦時のイギリス軍は、なぜ諸兵科で連携せずに戦車だけで突っ込む戦い方をしていたのか? (2021/05/05)で書いていました。

 ここらへん個人的に非常に興味あることもあり、OCS『DAK-II』「ロンメルの第1次攻勢からのキャンペーン」3回目をハウスルール付きで開始しました (2021/10/21)で、英連邦軍に「諸兵科連合できない」ようにする改造ハウスルールを考えてみてました。

 しかしそこで、一つの疑問が。英連邦軍は諸兵科連合できない(しない)……でもじゃあ、その英連邦軍にボコボコにやられたイタリア軍は諸兵科連合できるのか?


 もしイタリア軍もまた史実において諸兵科連合できなかったとしたら、イタリア軍にも同様のルールを付けなければならないでしょう。


 そこらへん気になったので、先日読んで大変興味深かった、『Hitler's Italian Allies: Royal Armed Forces, Fascist Regime, and the War of 1940–1943』(のDeepL翻訳による訳文をアウトラインプロセッサに保存していたもの)をチェックしてみました。




 この本は言わば、「なぜイタリア軍は弱かったのか?」ということを、その文化的、政治的背景も込みで分析したもので、個人的に非常に面白かったです(→第二次世界大戦におけるイタリア軍に関する洋書を2冊見つけました (2021/08/28)。ここで書いていた『Mussolini's War: Fascist Italy from Triumph to Collapse, 1935-1943』も読んでみたのですが、こちらはイタリア軍の戦歴について時系列で述べたもので、個人的には特に面白いとは思いませんでした……(^_^;)。

 『Hitler's Italian Allies』を読んでいて、「あれ、これどこかで読んだことがある内容だな?」と何回か思ったので、手持ちの資料をチェックしてみたところ、大木毅さんの「ある不幸な軍隊の物語」という記事(初出:『コマンドマガジン』第89号、2009年。私は同人誌的な「明断と誤断」という冊子で持っているのですが、『ドイツ軍事史――その虚像と実像』にも収録されているはずです)にこの本の内容が結構紹介されており、参考文献一覧にも名前が挙げられていました。





 チェックしていたら、イタリア軍の諸兵科連合についてずばり書いてある文がありました!

 そしてイタリア軍は、その様々な欠点にもかかわらず、少なくとも英連邦軍にはない兵科の連携に関する概念を持っていた。英連邦軍は、【第一次】エル・アラメイン戦の時点でも、歩兵部隊主体と機甲部隊主体の2つの軍団を効果的に連携させることなく、狭い攻撃回廊に同時に送り込もうとしていた。砂漠でのロンメルのキャンペーンで一緒に戦ったイタリアの機動部隊は、機甲、砲兵、歩兵が作戦上も戦術上もチームとして機能しなければならないという教訓を、イギリス軍よりもはるかに早く学んでいた。ドイツ軍による手本は決定的であったが、それ以前からイタリア軍のドクトリンは、その作成者がイギリス軍の全戦車理論【戦車単独万能論】家達の研究を聞いたことがなかったこともあり、すでに統合の傾向にあった。 イタリア軍のドクトリンは必然的に歩兵の絶対的な優位性を宣言し、「戦闘の決定的な要素であり、歩兵が前進すれば全軍が前進し、歩兵が後退すれば全軍が後退する」としていた。しかし、歩兵と砲兵の協力が当然必要であることも強調されていた。 1941年まで、そしてそれ以降もイタリア軍が支援兵器と見なしていた機甲部隊も、同様に歩兵と連携していた。戦場では、通信機器の貧弱さ、不充分な訓練、そして大砲が1914年から18年にかけて作られた古いものであったことなどが、攻勢時の諸兵科連合の効果をどうしても制限してしまい、イタリアの砲兵は歩兵をカバーできず、通信もできないことが多かった。しかし、エル・アラメインで最後の絶望的な戦いに臨んだアリエーテ師団の指揮官は、集中的な指揮を重視するイタリアの砲兵が、モントゴメリーによる1918年的な戦い方においては、分散的なドイツの砲兵よりも効果的に他の武器と連携していたと、もっともらしく主張することができた。
『Hitler's Italian Allies: Royal Armed Forces, Fascist Regime, and the War of 1940–1943』位置No.1343


 ということは一応は、英連邦軍に対してのような「諸兵科連合できないようにする改造ハウスルール」を入れる必要はなさそうです。尤も、史実でイタリア軍がバリバリに諸兵科連合できたのかと言えばそうではなさそうです。

 そういう「微妙な諸兵科連合できなさ」もルール化すべきなのかもですが、どうしたものか……?

 とりあえず、同書にイタリア軍の陸海空軍の連携度は低かったというような記述はあったので、英連邦軍と同様に「イタリア軍航空ユニットによってDGになった敵ユニットに対してイタリア軍ユニットは、ユニット毎に1D6して1~3では攻撃できず、4~6では攻撃できる。」とか……?

 また、非常にルール化しやすそうなものとしては、同書に「イタリア軍の後方支援部隊や司令部要員は(ドイツ軍と異なり)歩兵としての訓練を受けておらず、敵の襲撃を防ぐための全包囲的な防御を確立しようとしなかった。この原則は北アフリカでは危険であり、ロシアでは致命的だった。」(位置No.1314)というものがあり、ルール化するならば「イタリア軍のHQユニットは、戦闘モードでも移動モードでも0戦力である。」とか。



 『Hitler's Italian Allies』を見ているとイタリア軍の様々な欠点が書かれていますが、なかなかルール化しにくいようなものが多いです。OCSにおいては基本的には、ARを低くすれば良いとは思われますが、一方で(この本にも書かれていますが)イタリア軍のエリート部隊はドイツ軍が驚くほど良く戦った、ということもあります。

 イタリア軍のARを一律で-1にするというのは、『Case Blue』のスターリングラード戦以後のイタリア軍に対しては有効だとも思われる(スターリングラードでドイツ軍が包囲されたことや、厳冬によって士気が非常に低下していた)のですが、北アフリカ戦ではうまくいかない手のように思えます。

 案を考えるとしたら、「イタリア軍が参加する攻撃では、イタリア軍のユニット毎にAR+2し、1D6でそれ以下の値を出した時のみ、そのユニットは攻撃に参加できる。ただし、その攻撃がイタリア軍単独によるものだったら、AR+4で判定する。砲兵による砲爆撃も同様に判定する。それぞれ、参加した分だけSPを払えば良い。事前に充分なSPなしで攻撃/砲爆撃は宣言できない。」とか……?(↓で紹介している、シモニッチの『The Legend Begins』のイタリア軍ルールを参考にしました)




 とりあえずは、英連邦軍に関する改造ハウスルールを入れてプレイ(テスト)する時には、上記のイタリア軍に関する改造ハウスルールも入れてプレイしてみるべきですかね……。

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 ボードウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、第二次世界大戦やナポレオン時代関係情報を集積したりしてます。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイしたり、VASSALでOCSをオンラインプレイしたりですが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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