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イギリス第6歩兵師団は枢軸国の情報機関を欺くために第70歩兵師団へと改称された(付:OCS『Reluctant Enemies』、『DAK-II』、『Burma II』)

  トブルクに、第9オーストラリア歩兵師団の代わりに入ったイギリス軍の歩兵師団(1個のはず)なんですが、第6歩兵師団とか第70歩兵師団だとかって情報があってよく分からなかったので、その師団について調べてみました(結論的には、第6歩兵師団が改称されて第70歩兵師団となったのでした)。


英語版Wikipedia「6th (United Kingdom) Division」
英語版Wikipedia「70th (United Kingdom) Division」



 第6歩兵師団は1939年11月3日にエジプトで、第7歩兵師団から再指定により編成されてオコーナー将軍の指揮に入ります。1940年6月17日(イタリア軍による英仏への戦線布告の7日後)に第6歩兵師団司令部は西方砂漠部隊(後のイギリス第8軍に繋がる組織)司令部となり、師団は事実上消滅。

 1941年2月17日、エジプトで再編成されます。同年6~7月のシリア・レバノンでのエクスポーター作戦(対ヴィシーフランス軍)に参加し、元々の第14歩兵旅団の他に第16歩兵旅団や第23歩兵旅団が合流しました(第23歩兵旅団も元々かも)。作戦が終わった後もシリアに留まります。


 ↓OCS『Reluctant Enemies』の第6歩兵師団司令部と麾下の旅団(旅団所属の部隊以外にも第6歩兵師団麾下のユニットがあると思われますが、省略)。

unit9328.jpg



 第6歩兵師団がトブルクに輸送されたのは9月19日から10月25日までの期間にで、その最中の10月10日に第70歩兵師団へと改称されました。これは、師団がいつ完全に再配置されるかについて枢軸国の情報機関を欺き、防衛に資するようにするためだったそうです。


 ↓OCS『DAK-II』の第70歩兵師団麾下の旅団ユニット(改称のためか、複数ユニットフォーメーションにまとめられていません)。

unit9327.jpg




 11月18日から12月4日にかけてのクルセイダー作戦では第70歩兵師団はトブルクからの攻勢を行い、最終的にトブルクが解放されます。その後第70歩兵師団はエジプトへと撤退して再装備を行いましたが、輸送手段が不足していたために移動に1月中旬までかかりました。1月末までに師団はシリアへと戻り、ダマスクスの周辺で宿営します。

 1942年2月15日にシンガポールが陥落したため、第70歩兵師団はインドへと送られ、機動予備となりました。

 当時、第15インド軍団司令官であったウィリアム・スリム将軍は回顧録の中で、第70歩兵師団は「私が出会った中で最高のイギリス軍部隊の一つであり、中東で得た見事な戦いで鍛えられた精神を持っていた。」と記しているそうです。

 1943年8月にオード・ウィンゲート将軍と会ったチャーチルとルーズベルトは彼のチンディット部隊に感銘を受け、チンディット部隊の拡大が命じられます。この拡大のために第70歩兵師団は解体され、チンディット部隊に移されることになりました。

 インド戦域軍司令官であったオーキンレックはこのような動きに強く反対して師団の存続を望み、その代わりに新しく到着した第81(西アフリカ)師団を使うことを提案しました。しかし10月25日に第70歩兵師団は解散され、すべての部隊がチンディット部隊に移されました。

 イギリスの公式戦史家であるスタンリー・カービーは、最高の訓練と経験を積んだイギリス軍の師団が、最終的に東南アジア司令部の歩兵の6分の1を吸収する特殊部隊を強化するために解体されたと書いています。彼はこの師団がそのままの形で残されていれば、イギリス第14軍を強化でき、1944年のインパールとコヒマの防衛はもっと容易であっただろうと考えました。歴史学者のF.W.ペリーは、「この部隊が達成した結果は、投入した資源に対する十分な見返りではなかったという結論を避けることは難しい」と書いています。さらに彼は、この特殊部隊は軽武装すぎるため、強力な拠点を占領することができず、仮に占領したとしても保持することができないから、チンディット部隊は「日本軍がかつて与えた以上の損害と混乱をイギリス軍にもたらした」と結論づけました。同様に、スリムは回顧録の中で、第70歩兵師団はジャングル戦の訓練を受けた唯一の英軍師団であったため、これを解体したのは間違いであり、経験豊富な通常の編成であれば、特殊部隊の一部として使用された時の2倍の効果があっただろうと論じているそうです。


 ↓OCS『Burma II』のチンディット部隊ユニットのイギリス軍部隊のみ(第14、16、23の名前があるのが元の第70歩兵師団? 「第3インド」とあるのはチンディット部隊全体に付けられていた師団名)。

unit9326.jpg




 OCSゲームにおいては第6や第70の歩兵師団としてのまとまりが非常に分かりにくい形で常に入っているのがなかなか悲しいものがありますね(^_^; しかしそういう意味でも、逆に興味深い師団であるとも言えるような気がします。


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 ボードウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、第二次世界大戦やナポレオン時代関係情報を集積したりしてます。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイしたり、VASSALでOCSをオンラインプレイしたりですが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

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