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OCSによるショック戦(機動戦)の特徴と、個人的にまだまだできていないことの反省点

 リデル=ハートの『The German Generals Talk』の和訳である『ナチス・ドイツ軍の内幕』からの資料収集作業が完了しました。




 その中で、結語の2ページの中にあった言葉が、OCSにおいても、というかOCSにおいてこそ重要なものだと思われました。

 この連中【ロンメルなど】は敵の"予期しないこと"についての直観力を持っており、かつそれが敵をマヒ状態に陥れることができるという点において、量り知れない効果を持つということを知っていた。
『ナチス・ドイツ軍の内幕』P282


 OCSはシステム上、両軍にとって戦線がどこもかしこも危ない一方で、両軍ともにやろうと思ったらできることが大きいように作られているので、両軍、何がどこまで可能か、どこが危ないかとかを把握しきることができません。しかも、戦線後方には司令部、補給集積所、輸送トラック、一般補給線など、敵に突かれると困ってしまうものに溢れています。ですので、「敵の予期しないこと」を意識しつつOCSのプレイを重ねていると、ある時「あ、ここを突けば敵をマヒさせられるのでは!?」という戦区が見えてくることがあります。というか、まあ稀にそういうことが自分にもあるわけですが、多くの場合私は、敵プレイヤーによって自分の「予期しないこと」をされてしまい、自分がマヒ状態に陥る……という感じなわけですけども(爆)。

 多くのウォーゲームでは、OCSほどには「敵の予期しないこと」を突けるようにはなってないのではないでしょうか。そのため、OCSでは他のウォーゲームにないほどに、史実同様、予備部隊を持ち、後方に守備隊を置くことが重要になっています。ちょっと前に「OCSはどこらへんがリアルなんでしょうか(あるいは、どの辺が面白いのでしょうか)」というような質問をもらったのですが、このことを持ち出して回答しておけば良かったのかも……。

 ただ、そういうプレイとかゲームは好みではないという方もいるでしょうし、あるいは「そうだとしてもOCSはやり過ぎだ」と考える人もいるでしょうから、そこらへんは人それぞれだと思います。私は、OCSでももっと戦場の霧があって欲しい(つまり、もっとやり過ぎて欲しい)と思っているくちですが……(^_^;


 このあたり、以前OCSにおける真の「ショック戦」 (2016/07/17)で書いていたことではありますが、OODAループ理論で、

相手を混乱させ心理的ショックを与え続ける。必ずしも決戦は必要ではなく、相手の脆弱な箇所へ攻撃を仕掛け続ける。
日本語版Wikipedia「OODAループ」

であるとか、

目標は敵の「状況に適応する精神的な能力」を粉砕することである。
『米軍式意思決定の技術』P102

 ということになります。


 そしてそれゆえに、「やられるかもしれない」という側面においては、それに即応するための予備が、そして「やろうとする」という側面においても、相手を翻弄し続けるために予備が、双方重要になってくるわけですが、その点、理論では分かっていても、尼崎会の我々は全然予備を保持しておくということができていません(T_T) 毎回毎回、反省点に挙がってくるのですが、一向に改善されず、とにかく手持ちの戦力を全部前線に出してしまうという……

 一応、対処法として、プレイヤーターンの最初の方に「上級司令部&予備指定セグメント」というのを勝手に設けて、
「それで、このターンは貴官はどの部隊を予備として指定するのかね」
「えっと……このユニットと……このユニットとか……?」
「なにぃ? たったそれっぽっちかね!? 機動戦において予備兵力を持っておくことの重要性を貴官は本当に分かっておるのかね!
 というようなやり取りをやるべきなのかな、と話してはおります(^_^;


 ちょっと改めて以前読んだ『機動の理論』をパラパラ読み返していたのですが……。



 機械化戦における予備隊の価値は、いくら誇張しても誇張しすぎることはない。なぜならば、機動力の向上は数え切れないほどの奇襲効果をもたらすからだ。強力な予備隊を持てば持つほど、それだけ予期しない奇襲効果が得られる。
 将来戦における大きな困難の1つは、敵の意図が推量できないことであり、さらに最も困難なことは、敵をいかなる場所にも固定=拘束できないことだ。であるから、強力な予備隊を持たないかぎり、予期しない状況への対応は不可能となる。

『機動の理論』P88


 このあたり、まったくその通りでございますと、ぐうの音も出ません……。

 また、以前、ドイツ軍の進撃路で道路が渋滞したり、道路が摩耗したりするから、戦力を集中させ過ぎないのでしょうか? (2020/10/29)に追記していた件として、こういうのがありました。

 陸軍当局の方は、対英上陸はできる限り広い幅でやるべきだ。 - 少くともラムズゲイトからリム湾ぐらいまでの間へ - それはイギリスの予備軍の目標を迷わせ、拡散させるために必要であると主張したのに対して、海軍の方はとてもそんなに広い幅では援護できない、イーストボーンから西は守れない。もっと狭い上陸地点と一つのコースに絞ってくれと主張した。議論は白熱して二、三週間続いた。ハルダーは「海軍の案は陸軍にとっては自殺行為に等しい」と宣言し、「それはあたかも陸軍をソーセージ製造機の中へ送りこむようなものだ。」
『ナチス・ドイツ軍の内幕』P143,4


 つまり、敵の「予備軍の目標を迷わせ、拡散させるために」、自軍戦力をある程度分散させることが必要だという件ですが、『機動の理論』にもこのように書かれていました。

 敵の関心を引きつけ、敵に1方向だけではなく多方向に目を向けさせる。このような敵を困惑させる攻撃は陽動ではなく、敵に計画の変更を強い、敵の予備隊を消耗させる行動なのだ。
『機動の理論』P91


 こういう系統のことはまだまだ全然できていない、と思います。反省し、今後取り組んでいきたいものだと……。


 また、いわゆる「機動防御」について、『ナチス・ドイツ軍の内幕』でこのように書かれていたのが印象的でした。ラインの守り作戦について、マントイフェル、ルントシュテットらが、攻勢よりも機動防御を狙った方が良かったと言っていた、と。

 本当は、連合軍が新たな攻勢に出てくるまで待つのが一番良かった。そしてその時のチャンスに備えて、機械化部隊は全部手許においておく。ルントシュテットも同じ意見だったということは、ブルメントリットも証言している。「【ルントシュテット】元帥も本当はこちら側から攻撃をしかけるようなことには反対していた。彼の意見は、こちらはロエール川を防御して、その線に味方のすべての機械化師団をおいておき、敵がそこを破って踏み込んできた時に、強烈に反撃するというのであった。
『ナチス・ドイツ軍の内幕』P262


 機動防御についても、OCSで私は自分がうまくできているという気がしません。逆に、OCS『Beyond the Rhine』で私が連合軍を持って、マップ南端のライン川沿いを急襲できて「よし……!」と思っていたら、肉入り鍋さんが予備にしてあった装甲旅団を繰り出してきてしこたま反撃されまして、呆然としたということがありました(T_T)

 機動防御の具体的なテクニックが分かってないのですが、Operations誌に「攻勢をしてきた相手の主力ではなく、主力と後方の間の脆弱な地点を狙う」とあったのと、あと、機動防御用の予備を隠しておいて、相手の攻め気を誘う、ということが重要なんでなかろうかという気はしているのですが、そうしていたら別の場所を大攻勢されて自分がパニックになるという行く末が簡単に見えるというのが私クオリティ……(爆)。


 しかし実際、OCSにおいて、分かってきた面もありつつも、まだまだ全然できてないことが多いというのが実感です。



 それから、『ナチス・ドイツ軍の内幕』において、ラインの守り作戦に関するこのくだりも興味深かったです。

 この【ラインの守り作戦の】戦略的カムフラージュは奇襲の効果を助けたけれども、ただあまりにもきつく秘密にしすぎたために、かえって高価な犠牲を払ってしまった。各指揮官はあまりにも遅く知らされたために、自分の問題を研究する暇がなく、また地形を調べたり準備をしたりする暇もほとんどなかった。そのため多くの見落としがあり、またいよいよ攻撃がはじまってみると、さまざまの障害がでてきた。
『ナチス・ドイツ軍の内幕』P263


 この点、多くのウォーゲーム(特にビッグゲーム)でも、地形の吟味が非常に重要であるというのは共通であると思われますが、OCSでもプレイの最初にまず自軍の置かれた状況とすべきことを把握するのにかなりの時間がかかります。ところがバルジの時のドイツ軍指揮官は、初見のマップの前に座って「はい、この移動フェイズはあと20分で終了して下さい」と言われたようなもので、それは確かに良くなかっただろうな、というのが非常に実感できました(^_^;


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プロフィール

DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! 見学だけ等も大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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