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「愚将」とされる牟田口廉也の評価に関する、2018年以降のウェブ上の論争らしきものについて(付:OCS『Burma II』)

 ちょっと前に、こういうツイートをしたことがありました。





 「牟田口廉也=愚将」という見方は、例えば↓のような。

牟田口廉也 (むたぐちれんや)とは【ピクシブ百科事典】


 しかし、近年「いわゆる名将」の化けの皮が剥がされていっているのであれば、「いわゆる愚将」が愚将であるように誇張され過ぎていたことの化けの皮が剥がされるというようなこともあるのではないかとも思いまして。
(実際例えば、北アフリカ戦線におけるイタリア軍の将軍達はひたすら馬鹿にされてますが、「そこまでではなかった」とおぼしき例証がいくらかある様に感じています。例えば→イタリア軍のガムバラ将軍はロンメルに協力するようになって解任された? (2017/07/10)


 牟田口廉也に関して2018年に出た本として、『牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか』(広中一成 星海社新書)という本があることは知ってました(というか、この本以前に牟田口廉也のみを扱った評伝、伝記の類はないそうで)。



 この本は、牟田口廉也自身が愚将だったというよりは(ということはあるとしても?)、昭和陸軍という組織が愚将としての牟田口廉也を生み出していったという側面があるのではないか……という視点で書かれているということで、私も書店で見てパラパラとめくってはみたんですが、とりあえず購入は見送ってました(何しろ積ん読だらけなので(T_T))。


 そんな中、たまたま思いついて検索で「牟田口廉也 最新研究」と入れてみたところ、この本の著者広中一成氏が同書出版後に書いたウェブ記事から、牟田口廉也に関してウェブ上で論争らしきもの(ただし、あくまで一方通行の(^_^;)が始まっていたことを知りました。

 主題としては、「インパール作戦中に、牟田口廉也は後方で連日宴会で遊んでいた」という話には一次史料がないのではないか……? という話で、広中氏が「一次史料がなく、誇張ではないか」とウェブ記事を挙げた後、「読書放浪記録」というブログにて反論があり(他にもあったらしいですが)……といった感じになっていたようです。


 以下、時系列順にリンクを貼ってみます。

牟田口廉也「愚将」逸話の検証 伝単と前線将兵(広中一成)

 ↑反論

広中一成氏の「牟田口廉也の宴会エピソード」否定論について(読書放浪記録)

 個人的には、後者に書かれていたような日本軍の将軍達の遊興があったとして、イギリス軍の将軍達はどうだったのだろうかということが気になります(^_^; 少なくともイギリス軍側の一般兵士には(日本軍側の一般兵士と同様)そういうことがあったことは、確からしいですが(→インパール戦洋書をちょっと読んだ感想(慰安婦、日本軍兵士の強さへの記述等) (2020/03/06) )。



 その後、↑の反論とは無関係に、↓がアップされたようです。

「昭和陸軍と牟田口廉也 その「組織」と「愚将」像を再検討する」 広中一成 × 辻田真佐憲 トークイベント

 ↑の中に、「平林:前線の兵士たちの回想録にも、よく牟田口が出てきますが、常識的に考えて、兵卒が司令官と面識があるはずがない......」というくだりがありますが、イギリス軍側の司令官スリム中将はむちゃくちゃ兵卒と面識を持っていたらしいので、やはりそこらへんの対比に更に興味をかき立てられました。

 また、「広中:河邊の日記の中では、牟田口は割と評価が高いんです。インパール作戦を開始した日の記述では、気配りのできる陽性な人物であることが書かれていたりします。」という話なんですが、マッカーサーは部下や同僚達からものすごく変人扱いされていたのに、上司に対してはものすごくコミュニケーション上手で、それゆえ出世していって……と先日読んだのを思い出しました。そういう傾向性の人が世の中にいる、ということかと思いました。


 そして、このトークイベントの内容に対する、「読書放浪記録」側の指摘が↓

広中一成氏らの見解への疑問(高木俊朗の作品について)(読書放浪記録)

 なかなかに興味深い指摘だと思いました。



 そして時系列的にはこの後に、最初の2つのリンクを読んでWebライターの石動竜仁という方が、牟田口廉也の遊興逸話に関して独自に調べておられました。

「愚将」牟田口廉也中将の遊興逸話の真偽(石動竜仁)

 この中では、広中氏が「出典が不明確」としつつ引用してきた部分の引用者中略部分に出典が書かれていた(!)ことが書かれており、それが本当ならだいぶやばい話ですね(広中氏なりの理由もあるかもですが)。

 結論的には、広中氏の問題提起は重要だと思うが、広中氏の手法には問題も多いと思われる……というような話で、もしそうだとすれば、ワーテルロー会戦に関して「イギリス軍の功績ばかりが喧伝されすぎだ」という批判をしたホシュレー氏の主張が、その主張自体は重要であったものの手法に問題が多かったというのと似た構図かも(→1990年代以降のワーテルロー論争と、お勧めのワーテルロー洋書 (2020/01/16) )。あるいは、問題提起を最初にする人というのは、やや拙速になる傾向があるのかもと思ったり。


 ただ、上記で挙げたどの論者も、「自分の見解が絶対ではない」「論争大歓迎」という姿勢を見せているのは素晴らしいと思います。

 今回見つけたのは以上の5つのウェブページでしたが、他にも興味深いものの存在をご存じの方おられましたら、ぜひ教えて下さい。



 ただあれですね、こんなにも日本軍の第15軍の幹部達が遊興にうつつを抜かしていたとすれば、OCS『DAK-II』のイタリア軍に移動娼館ユニットがあったり、イタリア軍プレイヤーは各月毎にイタリアンレストランに食べに行かねばならないというルールがあったりするのを我々日本人が笑ったりはできないような……。





 OCS『Burma II』にもしハウスルールを入れるとすれば、「日本軍の第15軍司令部ユニットを管轄するプレイヤーは、毎日本軍プレイヤーターン開始時に、エロ動画を5分間以上視聴しなければならない」とかでしょうか?(おい)

 ↓OCS『Burma II』の日本軍第15軍司令部ユニット。

unit9747.jpg


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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! 見学だけ等も大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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