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インパール戦洋書をちょっと読んだ感想(慰安婦、日本軍兵士の強さへの記述等)

 OCS『Burma II』のプレイに向けてインパール戦の洋書を2冊買って少し目を通したわけですが、読んでいて「へええ……」と思った感想をちょっと書いておこうと思います。






 まずは『Burma Victory』の方の、慰安婦に関する記述。

 この道路【ティディム道】上の位置に完全に停止したままでいたこの【第17インド歩兵師団の】兵士達はマニプル州【インパールを中心とするインドの州】の女性達を連れてきており、性病への罹患が重大な問題となっていた。日本軍の方はこの困難な問題により現実的な対処をしており、40人の兵士に一人の割合で朝鮮人「慰安婦(comfort girls)」施設を作っていた。この女性達は自由をあがなうこともできた(could earn their release)が、しばしば彼らの部隊への絆から留まった(stayed on loyally with their unit.)。
『Burma Victory』P25,6


 まず第17インド歩兵師団の方の話なんですが、この師団はティディムを中心とした道路上にいてそこから日本軍に対する小競り合い的作戦に従事して小さい勝利を積み重ねることによって経験と士気を上げてきていたのですが、その場所はインド国内ではなくビルマ国内にありました。ですから一応、短距離とはいえ国外に連れて行ったことにはなるのでしょう。


 ↓Googleマップで「マニプル州」と検索したもの。マニプル州の南にティディムがあります。黒い線がインド・ビルマ国境。

unit9773.jpg


 イギリス軍による慰安婦の件ですが、以前、フランス軍指揮官による娼館の設置にイギリス軍側が怒ってやめさせようとしたという話も読んだことがあった(→OCS『DAK-II』の「移動娼館」ユニットと、占領された後のシチリア島の慰安所 (2017/03/31) )のですが、『ダンケルク』を読んだ時には、フランスにやってきたイギリス大陸派遣軍兵士達はフランスの娼館(軍属でない普通のそういう所?)に行きまくっていたという記述が何度も出てきましたし、確か駐屯地のフランス人女性達が「フランスを守りにわざわざ来てくれている」ということで歓迎して相手をしてくれただとか、イギリス本土へ撤退する時にも「これが最後のチャンスだ」とばかりに娼館に行きまくったとか……ってな話が何度も大量に出てきまして、そこらへんブログに書こうかとも思ったのですが、あまりに大量だし、ミリタリー的な部分とは結構ずれる(軍の娼館の話ではないわけですし)かと思って見送ったのでした(^_^;





 あと、イタリア軍の北アフリカ戦における移動娼館の話は、「The OCS Depots」「DAK & DAK2」のページからリンクされている「The Bordello」というpdf(『Operations #27』の記事)で読めます。私は一応読んでみまして、これもブログに書こうかどうしようか悩んだのですが、まあ見送ったのでした(^_^;



 日本軍の方の話は、日本国内、あるいは日韓両国でかまびすしいところだと思いますが、私はそこらへんの関係書籍はほとんど読んだことがなく、ただちょっと前に『反日種族主義』だけは読みました。



 この本の後半はだいぶ詳しくいわゆる「従軍慰安婦」について書かれていまして、特にビルマ戦線における慰安所について触れられていました(詳細な記録が発見されていたため)。

 読んだ記憶では(記憶違いかもですが)、慰安所には日本人女性もいた(ただし朝鮮人女性が多かった)とあったような気がしますが、『Burma Victory』では明確に「Korean 'comfort girls'」となっていました。また、「慰安婦は性奴隷であった」説に与しない書き方になっていますが、そういえば韓国の挺対協も、今はもうそういう説は無理だと分かってきていて、別の論点でやろうとしているとあったような……。

 『反日種族主義』では、ある一人の女性(挺対協に協力することになった二人目の女性)に特に焦点をあてて記述される部分があるんですが、彼女がビルマ戦線の兵士達について「いい人達だった」と言って泣いていたという話が印象的でした(Kindle版で読んだのですが、線は引いてあるものの、確認や引用のために記述場所を探すのが普通の本に比べてやりにくいったらしょうがない! ので、あくまで記憶で……。やはり電子書籍は、読み捨てか、マンガ等でしかするべきではないですね(T_T))。


<2020/05/22追記>

 ネットニュースで、『反日種族主義』もまた、資料の取り上げ方に偏向が見られるという記事を読みました。参考に挙げておきます。

 東南アジアの慰安所で働いていた朝鮮人男性の日記が2013年に見つかった時も、似たようなことが起きた。日記には最前線であるビルマにいた慰安婦たちの厳しい生活事情とともに、後方地域であるシンガポールでは満期明けで帰国する慰安婦もいたことなどが書かれていた。朝鮮半島から複数回にわたって慰安婦が集団で東南アジアに渡っていたことがわかる記述もあった。

 当時の実情をうかがわせる貴重な資料だ。私を含む多くの日本メディアは、置かれた環境によって慰安婦たちの境遇は千差万別であったことを書いた。ところが韓国メディアに出たのは、シンガポールでの記述を完全に無視した過酷な環境についてだけの記事だった。ソウル特派員だった私は、それを読んで唖然とさせられた。

 余談になるが、ベストセラーとなった『反日種族主義』も同じ日記を取り上げた。この本は逆に、ビルマでの過酷な扱いについての記述をほとんど無視した。これもタブーへの反動と言えたかもしれない【……】
意外とあっけなかった韓国の「慰安婦タブー」


<追記ここまで>



 それから、『IMPHAL 1944』の方ですが、この本には日本軍兵士の強さについて記述している部分がある程度あり、日本側のインパール作戦の本ではそういう記述は見ないものですから、印象深く思いました(P14~15)。

 ただ、引用しようと思って改めて見返してみると、スキル的な強さというよりは、武士道とか万歳突撃とか、補給や武器がなくても粘り強く戦うというような、いわゆる「ブラック企業(滅私奉公)」的な強さの話が主で、私も若い頃にはそういう話にポジティブな印象を抱いていたものですが、私自身年もとり、また昨今では日本的なそういう方向性が高度経済成長期には大いにプラスにはなったもののその後の低成長期(失われた20年)にはその方向性がむしろ日本経済の後進性をもたらしたのだ……という話を最近は良く読むようになったこともあり、どちらかというと暗澹たる気持ちになったりしました……(T_T)

 尤も、例えばソ連軍兵士の強さというのも上記と同じ様な側面が強かったと思われますし、1940年のフランス軍がなぜ負けたかというと戦う前から気持ちで負けていたからという話もありますし、イタリア軍兵士はそもそも戦う理由を持たずに侵略側になったために基本的にはやる気が無かったものの、条件さえ良ければ猛烈に戦ったということもあります。ですから戦争の強さということに関して言えば、日本軍兵士は(また、戦後日本の労働者は)悪くはなかった、だが、それを過信して無理強いだけさせる牟田口のような指揮官(今でも根性論だけで労働者を働かせる/根性論だけで生徒に勉強させる人達)が悪いのだ、ということは言えるでしょうか……。



 先日届いた『The Italian War on the Eastern Front, 1941–1943: Operations, Myths and Memories』を読んでいますと、「負け戦の話が国全体を燃え上がらせるような『神話』となる例がままある(例えば、ギリシアにとってのテルモピュライや、アメリカにとってのアラモ砦など)。そしてその神話は、ある意味ステレオタイプな語られ方をしがちになる」というようなことが書いてありまして、日本にとってのインパール戦もその一種なのかな、と思いました。神話としてのインパール作戦ではステレオタイプとして、牟田口のあり方に焦点があてられなければならず、「日本軍側がどのように強かったのか」は語られてはならず、また「敵の指揮官がどのように有能であったのか」というような視点は閑却されているのかな、と。尤も、インパール戦に関する最新研究の動向とか全然知らないわけなので、上記のような見方は相当古かったり、あるいは全くの的外れかもしれません(^_^;


 『The Italian War on the Eastern Front, 1941–1943: Operations, Myths and Memories』ですが、イタリア軍に関する見方や研究においてこれまでどんな風に視点が追加されてきたりしたかというような事が序章で書かれていまして、個人的に非常に興味深いです。また、ブログに書けるだけの状態になりましたら書きます。




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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! 見学だけ等も大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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