OCSに慣れたら絶対入れるべきと思われる公式オプション&ハウスルール4つ+α(尼崎会2019年暫定版)
OCSの基本ルールはプレイアビリティを考えて、ある程度ルールを単純化しているのだと思われますが、ひたすら効率を追求するプレイをすると逆にプレイアビリティが著しく低下したり、非常におかしなことが起こったりする箇所があるのです。それを防ぐために、特に最初の2つのオプションルールは入れなければならないと思います(逆に言えば、別に効率を追求するプレイをしないで適当にプレイするならば、最初の2つのオプションルールは入れなくていいかもしれません)。
21.2 ステップに比例した戦闘力 - A
9.11d に従わず、複数ステップを持つユニットが残存ステップに比例した戦力を持つようにします。そのやり方は“印刷された戦闘力×現在のステップ数÷元のステップ数” です。端数は四捨五入します。
例:完全戦力の状態で3 ステップを持つ11 戦闘力の師団ユニットが1 ステップを失うと、その戦闘力は7 になります。
9.11dとは「9.11d ステップロスの影響 1 以上のステップを失った複数ステップユニットは、攻撃時の戦闘力が半減します。本来の(記載された)ステップの半分以上を失った戦闘ユニットは、防御時の戦闘力も半減します。」というもので、これはプレイアビリティを少しでも高めるためにそうされているのかもしれませんが、この基本ルールのままだと……。

↑4ステップ歩兵師団とその分遣連隊。
この歩兵師団で分遣連隊を出した時の総計攻撃力と防御力を計算してみると……。
分遣連隊を1つも出さない時:元歩兵師団の攻撃力は20、防御力は20。
分遣連隊を1個出した時:元歩兵師団の攻撃力は10、防御力は20、+分遣連隊の攻撃力4、防御力4。合計攻撃力14、防御力24
分遣連隊を2個出した時:元歩兵師団の攻撃力は10、防御力は10、+分遣連隊の攻撃力8、防御力8。合計攻撃力18、防御力18。
分遣連隊を3個出した時:元歩兵師団の攻撃力は10、防御力は10、+分遣連隊の攻撃力12、防御力12。合計攻撃力22、防御力22。
つまり、分遣連隊を3個出した時の総計攻撃力が一番大きく、防御力だけを考えれば1個出した時が一番大きいということになります(そんなアホな!)。それだけでもだいぶおかしいですが、効率をひたすら追求するプレイヤーならば、これらを計算して分遣連隊を出すということになるかもしれません(なんじゃそりゃ)。
しかしこれらの問題は比率通り計算することにすれば基本的に解決します。歩兵師団の戦力やステップ数は色々なパターンがありますが、それほど難しい計算ではないですし、計算機で計算してもいいわけです。尼崎会や、尼崎会勢が参加したことのあるOCSをプレイする会合では、このオプションルールを入れないでOCSをプレイすることはあり得ないと思われております(おりました)。
ただし、オプションルールの「例」は11戦力÷3ステップ=3.666.....で、残り2ステップなら3.666...×2=7.333....だから四捨五入して7戦力だというわけで、戦闘解決の時にこの「一旦四捨五入する」というステップを入れるのが公式オプションルールなのでしょうが、尼崎会では「別にここで一旦四捨五入なんかせずに端数を残したままで計算して最終的な戦闘比を出せばいいじゃん(その方がむしろ楽でしょ?)」ということで、そのようにしております(つまり、尼崎会では厳密にオプションルールそのままではなく、やや逸脱しているということです)。
21.3 独立ユニット - D
師団に所属していない独立ユニットだけで攻撃する戦闘では、攻撃側が消費しなければならない戦闘補給は2 倍(ステップ毎に2T)になります。さらに、これらの独立ユニットは、攻撃時には内部備蓄を用いることはできません。
独立ユニットと師団に所属するユニットが共同で攻撃する場合、必ず師団に所属しているユニットのアクションレーティングを用いなければなりません。このルールは防御時には適用されません。
このオプションルールはやや複雑ではありますが、↓の基本ルールにおいてひたすら効率を追求するプレイを防ぐために必要だと思われます。
12.5c【……】B)司令部方式 司令部毎に1SP を消費して、その司令部自身と、その支給範囲にいるすべての独立ユニットに燃料を供給します。この給油状態は、次の自軍クリーンアップフェイズまで持続します。司令部の上に給油状態マーカーを置いてこの状態を表します。
特にマップが広くユニット数が多い、長期のシナリオやキャンペーンをやる際に顕著になりますが、「1つの司令部に1SP入れれば、その司令部の支給範囲にいるすべての独立ユニットに燃料を供給できる」ため、マップ上のすべての独立ユニットを1つの司令部の支給範囲に集めてくれば、20個でも50個でも100個でも……の独立ユニットに1SPで燃料を供給できるのです。そして独立ユニットで強力な打撃部隊を編成し、それでひたすら攻撃をおこなうということになります。もちろん、その司令部以外の他の戦線には独立ユニットがまったくいない、ということになります。
そのようなプレイはあまりにゲーム的過ぎるでしょう。しかしこの独立ユニットオプションルールを入れれば「基本的には複数ユニットフォーメーションが主役であり、それを助けるために独立ユニットが存在する」という風になります。
このオプションルールは尼崎会では「非常に優れたオプションルール」だと認識されております。ただ、やや複雑なルールではあるので、「この点については効率を追求しないでプレイしましょう」とプレイヤー間で合意すれば使用しないでも済む問題かもしれません。
↓このオプションルールが必要になる機会はかなり少ないのですが、時たま、「ああ、戦闘後前進でこのヘクスに入るつもりだったのに、砲爆撃で敵ユニットがいなくなってしまったから前進できない! 計画がおじゃんになってしまったぁ!」ということがあり、その救済措置として保険のために入れておく方がいいと思います。実際、「砲爆撃で事前に敵がいなくなったからそこに陸上ユニットは前進できない」という状況は「一体ソレは何をシミュレートしているのですか?」の一種でしょう。
21.8 空ヘクスへの攻撃 - B
ユニットが全力で移動した後に戦闘してさらに少なくとも1 ヘクス前進できる一方で、目の前のユニットのいないヘクスを攻撃できずに前進できないことに矛盾を感じるプレイヤーがいるかもしれません。このオプションルールは、準備砲爆撃の“大きすぎる成功” のために(戦闘を行うことができず)不利益を被ったプレイヤーを助ける効果ももたらすでしょう。
21.8a そうでなければ戦闘セグメントに攻撃が可能であったユニットは、その目標ヘクスに敵ユニットがいないとしても、攻撃することができます。
21.8b 空のヘクスが0 戦闘力であるとはみなしません。その代わりに、攻撃側は参加するすべてのユニットのための補給ポイントを通常通り消費し、消費したユニットはその目標ヘクスに前進できます。戦闘結果表のダイスを振る必要はなく、突破の結果が生じることはありません。
21.8c 空挺降下を行った戦闘ユニットはそのターンに、補給コストの消費なしで“空ヘクスへの攻撃”を行うことができます(空挺降下後に移動可能なようにしてはどうかと提案して下さったDick Horneffer氏に感謝します)。
<2019/12/22追記>
最後の21.8cについては、いくつか解釈の問題があると思われます。
まずは、この空挺降下した戦闘ユニットの「空ヘクスへの攻撃」は、準備砲爆撃の「大きすぎる成功」によるものでなければならないのか、あるいは、そのような前提条件なしに、空のヘクスにそれができるのか? 尼崎会では、21.8cの後段の括弧内の「空挺降下後に移動可能なようにしてはどうか」という文言から、準備砲爆撃の「大きすぎる成功」は必要ではなく、空ヘクスならばそこに対しておこなえるのだと解釈することにしました。
また、例えば3つの連続したヘクスが「1.空ヘクス」「2.空挺降下した戦闘ユニット」「3.空挺降下した戦闘ユニット」とあった時に、2のユニットが「空ヘクスへの攻撃」をおこなって1へと前進した後、3のユニットは2のいたヘクスへ「空ヘクスへの攻撃」をおこなえるのか? という疑問があります。この件に関して尼崎会では、「戦闘フェイズが始まった時点で空であったヘクスに対してのみ、空挺降下した戦闘ユニットの空ヘクスへの攻撃はおこなえる」と解釈することにしました。
<追記ここまで>
HR-10 最低限の燃料(12.5c) - C
もしユニットの移動力を1/4 にするのならば、複数ユニットフォーメーション、あるいは司令部に2T(1SP でなく)で燃料を入れられます。ただし、その給油状態マーカーはそのフェイズの最後に取り除きます。
コメント:この最低限の燃料で動かす地域を入れ替えていくという選択肢もあるでしょう。
基本ルールでは、1つのユニットに対しては、「燃料を入れる(移動できる)/燃料を入れない(移動できない)」の二択しかありません。この公式ハウスルールを入れることによって、1/4移動力だけを使用するために2Tを入れるという選択肢を作ることができます。
基本ルールの縛りのままの方が、実は効率を考えればプレイアビリティは低下していると考えることもできると思います(燃料を入れるか入れないかの二択の中で効率を考えるわけですから)。この公式ハウスルールはそれほど複雑ではなく、そして使用すればプレイアビリティをむしろ向上させるでしょう。
最低限入れた方がいいと思われるのは以上の4つですが、以下の2つの公式ハウスルールは、好みに応じて、かなり入れた方がいいとも思われます(あくまで個人の感想ですが(^_^;)。
HR-2 戦場の霧の増加(4.9) - B
敵スタックの隣接ヘクスに自軍の攻撃可能ユニットがいる時にのみ、その敵スタックの一番上(のマーカーや航空ユニット)の下を見ることができます。
コメント:v3.0 に近くなります。
OCSはスタックの中身は見られないという意味ではある程度以上戦場の霧があるのですが、ユニットの機動力の高さや弱ZOCの関係から、史実ではそんな機動は怖くてできないだろうと思われるような(敵後方への)機動が可能で、「まだ戦場の霧が不足している」と感じられます。このハウスルールを入れれば、その状況をやや緩和できるでしょう(それでも、もっと戦場の霧があった方がいいとも思われますが)。
HR-5 ティーガー戦車(9.4e) - B
ティーガー戦車は特別な扱いを受けます。
・ティーガーが攻撃側である時には、敵の対戦車効果によって“x2” の地形修正が無効化されることはありません(9.4e)。
・ティーガーが防御側である時には、敵の“x2” の地形修正を“x1” に減少させます(“x1.5” に下げる通常のルールよりも強力です)。
・ティーガーが移動力の半分以上を使用したセグメントの終了時には、ティーガーのユニットはDG となります。
コメント:これは面白いミニルールです。使用を考えてみようと思います!
↓OCS『Tunisia II』のティーガー中隊ユニット

OCSではティーガー中隊ユニットは「中隊規模だから海上輸送や鉄道輸送の時に1/4RE相当で運べるね!」くらいのメリットしか感じられない、ただの装甲部隊ユニットに過ぎません(T_T) しかしこのハウスルールを入れれば、待ち伏せ的に使用すればティーガー中隊は結構強力となります。ティーガーが登場するシナリオをプレイするなら、このハウスルールを入れないでプレイするのはかなり悲しいと思います(^_^;
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