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OCS『The Blitzkrieg Legend』で見るフランス軍の3種類の機甲師団らしきもの

 最近ずっと興味を持っている、第二次世界大戦中における騎兵に関してなんですが、ワニミさんが『Cavalry from Hoof to Track: The Quest for Mobility』という本を買われてもって来られたので、見せてもらってました。




 騎兵問題については↓をご参照下さい。
第二次世界大戦時、騎兵を敵後方へ送り込むというドクトリンを持って(持てて)いたのはソ連軍だけだった?(付:OCS『The Blitzkrieg Legend』) (2019/11/09)


 同書に、第二次世界大戦前のフランス軍の、騎兵から機甲師団への転換あたりに関する話が載っており、いくらか興味深いものでした。が、この本は英語が、というか文が分かりにくく、隔靴掻痒な感も……(^_^;

 イギリス軍は【騎兵と戦車の】どちらが主であるべきかという内輪もめを、両方に便宜を図るという抜け目のないやり方で終わらせた。RTR【Royal Tank Regiment:王立戦車連隊】の黒いベレー帽をかぶったフラーの信奉者達は、戦車を導入しつつも伝統の騎兵部隊も維持したままの騎兵連隊に留まらされた。フランス騎兵部隊は、影響力を持った高級将校がいたため、新兵器を受け入れる方向へと進んだ。フランス軍騎兵は、廃止の脅威という時においてむしろ、戦術的、作戦的な主要兵科という地位を獲得したのである。「フランス軍の騎兵科は自動車化と機械化の問題に集中的に取り組んだので、1935年までにはあっけなく、フランス軍の中で最も近代的な部門となっていた。」これを成し遂げたのがマキシム・ウェイガン将軍であり、1935年まではフランス軍の総括監察官を、そして1940年には最高司令官を務めていた人物であったが、彼のフランスと騎兵の両方を守ろうとする試みは、その両方を破滅に導くことになった。
 ウェイガンが情熱を持って取り組み、確信していたのは、騎兵と戦車が戸籍上でだけ結婚することが有益であろうということであった。彼は両者のための混合ドクトリンを考え出したが、それはフラー流の「脳を撃ち抜く」というやり方に本当に対処できるものではなかった。演習を視察したドイツ軍関係者達は、フランス軍のドクトリンは「7分の攻撃の後、歩兵の到着を70分待つようなもの」だとあざ笑った。この二者の間の違いを、【アメリカ軍の】騎兵科参謀長であったウィリス・クリッテンベルガー将軍はこう要約している。「フランス軍は少数の機甲師団しか持たなかった。一方ドイツ軍はすでに数個機甲軍団を創設していたのだ。」
 ウェイガンの半旅団と戦車騎兵部隊を融合するという解決法は、馬と戦車を混合させるというものだった。騎兵は装甲や装軌やタイヤやガソリン缶の手入れを命じられた。1929年から1939年までに様々な編成替えを経て、新たに5個の騎兵師団が最終的に軽騎兵師団(DLC)としてまとめられた。この新たな騎兵師団は胸甲や伝統的なたてがみのヘルメットこそ打ち捨てていたが、馬とサーベルは維持していた。各DLCは1個騎兵旅団、総計1200頭を持っていた。これらの騎兵旅団や兵站のためにフランス軍は1939年には52万頭以上の馬やラバを保持していた。
 この軽騎兵師団のようなやり方が、フランス軍の真の機甲師団である重機甲師団(DCR)や頑強な軽機械化師団(DLM)のためのリソースを浪費させていた。
『Cavalry from Hoof to Track: The Quest for Mobility』P162,163


 イギリス軍のやり方とフランス軍のやり方の何が違うのか、この文からは私はよく分からないのですが……(私の英文理解が悪いということは充分あり得ますが)。


 ただ、フランス軍が、騎兵と戦車をごっちゃにした師団を運用していたことは、OCS『The Blitzkrieg Legend』でアルデンヌ戦線を担当したことがある人には印象深いと思われます。

 ↓OCS『The Blitzkrieg Legend』のフランス軍軽騎兵師団(DLC)。下の画像は裏面。

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 『フランス軍入門』によると、「騎兵師団を部分的に機械化した師団で【……】師団としては編制規模がかなり小さかった。」とあって(P215)、実際ユニット上でも小ぶりな感じはします。史実ではアルデンヌの森にこの5個師団がいて、遅滞防御などをする感じですが、『フランス軍入門』にはどういう目的の編制かは書かれていませんでした。

 この軽騎兵師団(DLC)には軽機械化師団(DLM:ベルギー平原で第2、3軽機械化師団がドイツ軍の第3、4装甲師団とアニューの戦車戦を戦った)より多くの戦車が配備されていた……という文を『Cavalry from Hoof to Track: The Quest for Mobility』のどこか別の場所で見たような気がするのですが、今見つけられません(^_^; 『フランス軍入門』だと戦車の数が良く分からない……。とりえあえずオチキス戦車などを装備していたようです。

 騎兵(徒歩移動)と戦車(装軌)と装甲車(自動車化)が一緒にいることのメリットデメリットですが、道路上を移動するだけならいいのですが、ちょっと障害地形を進むことになると、移動コストがかなり異なるのでユニットの場所がバラバラになってしまうということはあります(^_^; ゲーム的にプレイするならば、すべての軽騎兵師団から騎兵ユニットだけを取り上げて、他の独立騎兵ユニットと一緒に、一気にドイツ軍に嫌がらせをするという目的に使いたくなります(複数ユニットフォーメーションが一緒にいないペナルティを払ってでも、そのドイツ軍に与える効果が強烈なので。そういうプレイはできない、したくならないような仕組みが必要だろうと思いますが)。




 ↓OCS『The Blitzkrieg Legend』の軽機械化師団(DLM)。

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 かなり強力な気がします(戦車の数がDLCより少ない、ってことはなさそうな……)。特に、第1、第2軽機械化師団はアクションレーティングが4で(ただし移動モードでは3)、フランス軍最強です。そのためもあってゲーム上ではこの軽機械化師団をフランス軍の最強戦力=主力として運用したくなるところです。ただ、史実での編制上の任務は、

 【……】騎兵師団を完全に機械化した師団で【……】おもな任務は、従来の騎兵師団と同じで、軍や軍団レベルの捜索任務、自動車化部隊等の戦闘加入の援護や警戒任務、敵戦線突破後の戦果拡張任務などだった。
『フランス軍入門』P216

だそうで、最後の1つは装甲師団っぽいものに見えますが、それ以外は割とぱっとしないもので、そこらへん総合的に考えると最後の1つにしても、「電撃戦=ショック戦ドクトリンにおける、敵戦線突破後の戦果拡張任務」というようなものではないと考えた方が良さそうです(というか、『電撃戦という幻(英訳本題名『The Blitzkrieg Legend』)』によれば、ドイツ軍も電撃戦ドクトリンなんか持っていなかったわけですが)。

<2020/12/18追記>

 軽機械化師団の顛末について、『米英機甲部隊』に記述があったのを再発見したので、引用してみます。

 ウェイガン将軍は、はじめ軽機械化師団を熱心に推進したひとりであった。だが、軽機械化師団がある程度強化されると、それ以上のことには頑強に反対した。彼はいった。
「どんなことがあっても、二つの陸軍には反対である。……われわれには、すでに機械化し、機動化した予備部隊があるではないか。いまさら、あたらしい部隊をつくる必要はない。いまあるものでじゅうぶんなのだ」

 このことばは、1934年に『機械化部隊』と題するうすい本を出版したシャルル・ドゴール大佐〔のちのフランス大統領〕にたいする、反撃の声明でもあった。
 ドゴール大佐はその本のなかで、先にフラーやその同調者たちが表明したときの熱烈さにはおよばないが、機甲部隊の必要性を力説したのであった。この主張には、意外なところから、いっそう強力な支持論がでた。それは、フランス陸軍最高会議議長のガムラン将軍であった。彼は、1936年10月、ドイツ軍がラインラントに進駐したさいに、こうのべたのであった。
「われわれは、技術の進歩に対応した兵器をもたなければならない。ドイツ軍は機甲師団を創設した。これは、奇襲ののちに、敵陣ふかく攻撃をかける武器である。われわれは、ドイツ機甲師団にまさる、強力な武器をもたなければならない」
 しかし、彼のこの意見は最高会議の賛成がえられず、意見が対立したときの慣例で、問題はなお検討する必要があるとして、決定は延期された。
 この問題は、1938年、オーストリアがドイツに併合された後、ふたたびむしかえされたが、またおなじように決定は保留されたのであった。そして、その年9月のミュンヘンの危機と、ドイツ機甲部隊の縦横無尽の快速ぶりに、あわてふためくハメにならなかったら、最高会議はさらに決定を延期したことであろう。

『米英機甲部隊』P41~44


 で、その後に、恐らく次に触れる「機甲予備師団」の編成と、その時点での問題が触れられています。

 1938年12月、やっとのことでB型重戦車を歩兵部隊から切りはなし、軽量なルノー戦車とホチキス35戦車をあわせて、いわゆる機甲師団に統合するこころみがはじめられた。
 【……】
 しかし、最高会議がこの問題の審議をおわったときには、すでにフランス軍の戦意は大幅におちていた。将校の防御型戦闘の思想を逆転させ、兵士たちの訓練を転換させるだけの時間は、もはやのこっていなかったのである。
 攻撃的性格の機甲師団をつくることに、フランス国民と軍部が消極的であったことは、表面上、政府の政策に反していた。なぜなら、1936年の「大編成部隊の戦術的作戦にかんする訓令」は、従来と正反対の思想に書きあらためられていたからであった。
 すなわち、
「攻撃こそ最良の作戦である。……攻撃のみが決定的な戦果をもたらす」と。
 だが、方向転換がおそすぎた。静止的防御の中心であるマジノ線は完成していたし、いずれにせよ、第一次大戦中の総攻撃で、あれほどひどい損害をこうむったフランス国民に、ふたたびその悪夢をもとめるのは、あまりにもよくばった要求だといわざるをえなかったからである。
 1939年のフランス軍は、1914年のフランス軍ほどの精彩はなかった。
『米英機甲部隊』P44,5



<追記ここまで>



 ↓OCS『The Blitzkrieg Legend』の機甲予備師団(DCR)。

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 この師団のおもな任務は、ドイツ陸軍の装甲師団のように攻撃部隊の先頭に立って敵戦線を突破するような攻撃的なものではなく、その名のとおり上級司令部の予備部隊として戦線後方に置かれ、敵の戦車部隊等に味方戦線を突破された時などに反撃に出ることなどが考えられていた。したがって、作戦地域は味方戦線後方が中心となるため、ドイツ陸軍の装甲師団と比べると地域の確保に必要な歩兵部隊や進撃路の啓開に必要な工兵部隊の規模が小さくても、大きな問題にはならないと考えられていたのであろう。
『フランス軍入門』P217


 略称DCRのRはReserveで、『フランス軍入門』では「装甲予備師団」と書かれており、私は今回「機甲予備師団」としてみましたが、他の文献では単に「機甲師団」と書かれていることも多く、OCSでも「Armor(のA)」という書き方なので、「これがフランス軍における主力の機甲師団なのだなぁ」と思っていたのですが、しかし別に全然そんなことはないのですね?!

 史実では第1~3機甲予備師団は戦闘をする間もなくあっという間にやられてしまい、ド・ゴール指揮の第4機甲予備師団のみはいくらか戦いはしたものの、元々編成途上だったこともあり、アクションレーティングの評価も割と低いものになっているのかもしれません(それに較べれば、軽機械化師団(DLM)の方は、やられてはしまったものの、戦闘はしたわけだったので)。


 こうして見るとなるほど、フランス軍には、ドイツ軍における装甲師団のようなものは存在せず、色々と中途半端な機甲師団っぽいものが3種類存在していたのだった……と言えそうです。

 『Cavalry from Hoof to Track: The Quest for Mobility』には、多分、フランス軍戦車そのものに対する評として「フランス軍の戦車は、(フランスのレストランでいう)本日の特選料理みたいなものだった」というような文もあって(P163)、実際フランス軍の戦車はそれぞれに結構スペック的には高かった(ただし運用的には難点が多い)わけですが、それらフランス軍戦車や3種類の機甲師団らしきものは「ほらどう? すごいでしょ?( ̄^ ̄)」というものであって、「主力」としてどどっと集中して注ぎ込む(ドイツ軍のように、戦車の運用面にも高い配慮をしつつ)……というものではなかったのだ、ということなわけでしょうか。


 ただ、OCS上では、ドイツ軍の進撃が遅ければ、フランス軍は持ってる3種類の機甲師団らしきものを全部かき集めて、「主力」としてどどっと集中して注ぎ込むこともできます(前回のキャンペーンでは、実際ドイツ軍の進撃が遅かったので、フランス軍側はそれらを集中させてじっくり待ち構えてました(^_^;)。まあ、つまりは、ドイツ軍の最初の進撃がどれほどうまくできるかということがカギで、それに成功すればフランス軍側は後手後手になっていかざるを得ない……ということなんでしょうね~。




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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、関係情報を集積したりしてます。また、ナポレオン時代のプロイセンと、あと若干イギリス軍関係を調べたり。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイがメインになってますが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! 見学だけ等も大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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