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OCSユニットで見るソ連軍人民委員(NKVD)ユニット

 今読んでいる『Soviet Cavalry Operations During the Second World War』ですが、ロシア帝国時代~大戦の戦間期の章は飛ばしまして(^_^;、第二次世界大戦のところから読み始めてます。

 その最初のところに、ソ連軍の人民委員(内務人民委員部:NKVD:エヌカーヴェーデー)に関する記述がありまして、興味を持ちました。

 ソ連軍の最も弱い部分は、野戦における中隊レベルの指揮能力であった。だが、ソ連軍兵士の戦場における粘り強さと、人民委員の精力的な統率力が、その弱さを埋め合わせていた。政治的な思惑からナチスは、人民委員の役割は戦場でソ連軍兵士たちを監視し、恐怖と脅しによって命令に従わせることなのだと喧伝していた。この偏った見方は、西側のフィクションものやノンフィクションもので21世紀になっても続いている。あらゆる効果的なプロパガンダと同様、それらは真実を核としつつも、ナチスの描いた偏向的な見方が多く含まれているのである。
 人民委員は共産党員から選出され、共産党がソ連軍を支配していた。彼らが政治的な狂信者であったというのは、ある程度まで事実であった。人民委員の大部分は、都市労働者出身であった。多くの場合彼らは勇敢、知的であったが、時に恥知らずで冷酷でもあった。彼らの任務は兵士達の生活に気を配り、戦闘においてその勇敢さで模範を示すことであった。規律を守らせる必要がある時に人民委員が即時の処刑を用いたのは確かだが、絶望的な状況においてソ連軍兵士達が頑強に戦い続ける上で、彼らの統率力と英雄的な振る舞いが大いに貢献したのも事実なのである。
 人民委員自身も兵士の一員であった。実際のところ、部隊が何倍もの働きをすることができるようになる優れた人民委員もいれば、部隊を混乱させるだけの劣悪な人民委員もいた。例えば、ドヴァトール将軍は騎兵将校として17年従軍し、その結果人民委員に、そして最終的には騎兵部隊の大佐、そして将軍となった。ベローフ将軍は若い人民委員を自身の幕僚や諜報員として使用しており、ある時には若い人民委員二人を無蓋トラックに乗せ、行方不明になっていた騎兵連隊を探し出しに行かせたことがあった。人民委員の職務を構成するものの多くは、西側の軍隊では、一人の高級将校にではなく、高級将校と従軍牧師の役割が合わさったものと言えるだろう。人民委員には、指揮を執っている司令官が不決断な場合には、戦闘を強制させる権限もあったのである。
『Soviet Cavalry Operations During the Second World War』P63



 確かGDWのヨーロッパシリーズの場合、NKVDユニットがいると退却の結果を無視できる(させる?)とかいう効果だったような記憶があり、それだと撤退を許さない(だけの)厳しい雰囲気がありますが、OCSの場合はNKVDは高いアクションレーティングを持っているものがおり(低いものもある)、しかもアクションレーティングを提供しているのに自分が最後にステップロスを受けるという卑怯なとてつもない能力を持っているので、NKVDユニット込みで都市とかに籠もられるとドイツ軍としては非常に非常に苦労します(^_^;


 ↓OCS『Smolensk:Barbarossa Derailed』のNKVDユニット

unit9879.jpg

 『Smolensk:Barbarossa Derailed』のNKVDルールは、『Guderian's Blitzkrieg II』や『Case Blue』に較べてそれほど強力ではありません(ARを提供して最初にステップロスしますし、敵が退却してもステップロスしないといけないので。しかも再建不能)。まだ初戦のうち?で、NKVDもそれほどうまく働けないのかも。

2.3b NKVD  NKVD 国境連隊( のみ。「Bdr」と記されていないものは含みません)がいるヘクスが攻撃された時はNKVD 国境連隊が「AR を提供するユニット」にならなければなりません。この高いAR の代わりに、防御側のオプションはすべてステップロスによって満たさなければなりません(通常ならば攻撃側が退却することで無効になるオプションも含めてステップロスします)。






 ↓OCS『Guderian's Blitzkrieg II』のNKVDユニット

unit9878.jpg


 ↓OCS『Case Blue』のNKVDユニット

unit9877.jpg

NKVD 国境守備連隊  NKVD 国境守備連隊(“Bdr” と記載されているユニットのみ)を含むスタックが攻撃された場合、ソ連軍は必ずNKVD 国境守備連隊のアクションレーティングを用いなければなりません(攻撃時には適用しません)。そして、そのような戦闘で適用されたオプションナンバーは全てステップロスで適用しなければなりません(この場合の損害を無視したり制限するようなルールは全て無視されます)。さらに、NKVD 国境守備連隊は一番最後に損害を受けなければなりません。単独でいるNKVD 国境守備連隊が攻撃された場合、防御に用いるアクションレーティングは0 です。損耗判定でNKVD 国境守備連隊のアクションレーティングを用いる場合、それは0 です。
(『Guderian's Blitzkrieg II』では3.8、『Case Blue』では3.5iで、内容は同一)



 督戦的なNKVDというのはつまり、「Bdr」と記されたNKVD国境守備連隊のみということで、他のNKVDは他の部隊を督戦したりせずにそれ自体で戦うもののようです。それらについてより詳しいことにも興味はありますが、また資料が見つかった時にということで。



 なお、『Hube's Pocket』と『Baltic Gap』は持ってない(手もとにない)のでパスで(^_^;


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督戦部隊

エウロパ(ヨーロッパ)シリーズだと国境守備隊のNKVDは普通の(弱い)部隊で、一部の督戦部隊に後退無視、DRをEXに換えるなどの効果があったので、OCSとは捉え方が逆ですね(普通の歩兵師団でしかないNKVD師団も存在しましたが)。
年末くらいに発売になるTSWWシリーズのBarbarossaでもNKVDは登場するでしょうから、どのような扱いになっているか興味があります。
CSSのThe Little Landに登場する政治委員ユニットにブレジネフが存在しますが、プレイヤーが彼の功績(噂)のどれを信じるかで、その効果が変わってくるというのも、なかなか笑わせてくれました。
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DSSSM(松浦豊)

Author:DSSSM(松浦豊)
 ボードウォーゲームの中でも、OCS(Operational Combat Series)だけをひたすらプレイしたり、第二次世界大戦やナポレオン時代関係情報を集積したりしてます。自宅(尼崎会)でOCSを置きっぱなしプレイしたり、VASSALでOCSをオンラインプレイしたりですが、時々はゲームクラブのミドルアース大阪などに行ったりも。

 尼崎会では、OCSに興味のある方を常時募集しております。OCS初心者の方にも分かりやすい、やりやすいところからお教えいたします! VASSALでのオンラインインストも大歓迎です。ブログのコメント等で、気軽にご連絡下さい(*^_^*)

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